2月14日はバレンタインデー! 好きな男性に思いを伝える「本命チョコ」、お世話になっている方に贈る「義理チョコ」のほか、最近では「友チョコ」「マイチョコ」などもあるようですが、老いも若きも何となくソワソワしてしまう、そんな1日ではないでしょうか。
世界屈指の名門・ハーバード大学で「食文化と社会」という授業の教鞭をとるテオドル・ベスタ―教授によると、日本の食文化について話すとき、特に盛り上がるのが日本のバレンタインデーとホワイトデーの風習なんだとか。書籍『ハーバード日本史教室』では、次のように紹介されています。
アメリカのバレンタインデーは基本的に男性が女性に贈り物をする日なのに、日本ではそれが逆になっている、という点です。
この事実、ご存じでしたか? 加えてアメリカには「義理チョコ」という風習はないため、「好きでもない人にチョコレートを贈るなんて!」と、ハーバードの学生たちは一様に驚くそうです。またホワイトデーなる、男性がお返しをしなければいけない日まで設定されていることも、面白がっているといいます。
もちろんベスタ―教授は、こうした背景には、菓子メーカーのプロモーションが大きく関わっていることも教えています。食文化においては、往々にしてこうした企業戦略がその歴史を作っており、それは「日本に限ったことではない」そうです。
ペリー来航の本当の目的とは?
話は変わって、1853年の黒船来航。NHKの大河ドラマ「西郷どん」にも登場し、誰もが知っていそうな有名な出来事ですが、「ペリー司令官が開国を迫った目的は何だったか?」と問われたら、多くの人は「日本と貿易をするため」と、答えるのではないでしょうか。
果たして正解は?――同じくハーバード大学のイアン・ジャレッド・ミラー教授は、「環境史」という視点から、同書の中で次のように語っています。
アメリカは、当時、世界一の経済大国だった中国との貿易を拡大することを最優先に考えていました。中国に行くには、途中で燃料、水、食糧を補給する場所が必要です。ところが日本は鎖国状態。それは困るから開国してくれ、というのが本当のところだったのです。
実は、日本と通商関係を結ぶことが主目的ではなく、「特にアメリカが欲しがっていたのは日本の石炭」だとミラー教授は明かします。さらに、当時のアメリカは日本海近郊での捕鯨に力を入れており、捕鯨船の「補給港の獲得」がペリーに課されたもう一つのミッションだったと指摘しています。
いかがでしょうか。世界最高峰の教育機関として知られるハーバード大学では、このように日本の歴史が多角的に研究されているようです。第三国の専門家による、客観的かつ学術的な視点からの分析・意見を知ることで、日本の価値を再発見できるかもしれません。
文/町田 光
『ハーバード日本史教室』
(佐藤智恵/中央公論新社)作家・コンサルタントである著者が、ハーバード大学で日本の歴史について教えている専門性の異なる7人の教授と、日本通で独自の史観をもつ3人の教授を取材。世界から見た日本史を考察し、21世紀に日本が世界に果たすべき役割についても言及する、新たな歴史書です。