鎌田實さん「かしこく暮らすために」がん治療(2)自分で決める"自己決定"が大切です

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外科療法(手術)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法の三大療法のほか、最近は第四の治療として一部の免疫療法が注目されている、がん治療。さまざまな選択肢がありますが、「自分で決めたほうが納得できます」と、医師で作家の鎌田 實先生は記しています。

前編:鎌田實さん「かしこく暮らすために」がん治療①ムードに流されない
はこちら。

それぞれ、その人にあった治療法がある

国立がん研究センターが、抗がん剤治療について、最近興味深いデータを発表しました。2007〜2008年に国立がん研究センター中央病院を受診した進行した肺がん患者のデータをみると、75歳未満では生存期間が延びています。しかし、75 歳以上ではほとんど効果がみられず、見方によっては生存期間が短くなったようにも見えます。そのため、厚生労働省と国立がん研究センターは、高齢の進行がんの患者に抗がん剤治療がどれだけ有効性があるか、大規模調査に乗り出す方針を固めました。

国立がん研究センター中央病院の西田俊朗病院長は、調査対象の数を増やすだけでなく、高齢者は同じ年齢でも体力や老化の状態の個人差が大きいため、患者の状態をきちんと把握する必要があると、ぼくが出演している日本テレビ「news.every 」のインタビューに答えています。確かにその通りだと思います。

最近ぼくは、89歳の胃がんの女性患者さんを診た。治療について本人と家族と、何度も話し合いました。積極的な治療を受けたいという本人の強い希望があり、年齢のわりに体力があることから、標準的な治療、手術を行うことになりました。自分で決めた時の方が納得ができます。この方は元気になりました。逆に国立がん研究センターのデータをみてあまり効果がないなら、無理な治療はしないという選択もあるのです。
どちらにしても、自己決定が大切。

緩和医療は「慰め」ではない

特に、70歳以上でがんが見つかったときには、標準治療をすぐに考えるのではなく、残りの人生を有意義に過ごすための治療法を考える必要があるのです。
そのためは、先進医療と同じくらい、緩和医療が大事です。緩和医療は「治療法がなくなった人のための慰め」ではありません。10年前に作られたがん対策推進計画では、がんの診断がついた時から、緩和ケアを含めたチーム医療を行い、その人がその人らしく生きられる医療の実現を目指しました。緩和医療は、肉体的な痛みだけでなく、心の痛みも取るためのサポートもし、生活の質を向上させ、自己決定ができることを目指しています。

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<プロフィール>
鎌田實(かまた・みのる)

1948 年生まれ。医師、作家、諏訪中央病院名誉院長、東京医科歯科大学臨床教授。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。近著に『遊行を生きる』(清流出版)、『検査なんか嫌いだ』(集英社)。

この記事は『毎日が発見』2017年7月号に掲載の情報です。

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