水道橋博士が語る54歳の芸人像と死生観(1) 全てを超越していちばん大事なのは健康 

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ビートたけしに弟子入りし、漫才コンビ「浅草キッド」を結成した水道橋博士。過激な笑いを生み出し続けた博士も、もう54歳。今、健康についてどう考えているのか伺いました。



自分の肉体への問いかけは意識的にやっている

―― 身体の衰えは感じますか?

博士 身体の衰えはものすごく感じるね。今でも(過去2度完走している)またマラソンにも挑戦したいし、子供を連れて冬はスキーとか夏はサーフィンとかやりたいとは思っているんだけど、寄る年波でもう自分がそれをできるイメージが湧かないんだよ。具体的には今は腰痛で「それが出来ない」と思っているけど、そこを克服したいとも思っているの。

 40代になった頃から誰もが意識すると思うけど、若い時は、当たり前で平気だったことが、ある日気がつけば、肩が痛い、不健康で二日酔いも抜けない。重篤な症状になっていることに気づく。

 それからは、すごく意識的に自分と肉体との問いかけはずっとやってます。それで、『博士の異常な健康』とか『筋肉バカの壁』で自分を実験体にして健康をテーマに本を書いたの。でも、いっとき、ヘルニア持ちなので、その腰痛が悪化して、2年前はスタジオで意識がなくなると思うレベルまでいったね。靴の紐も結べなくなった。荷物も上げられない。タクシーにも座れない。もう日常生活がツラくてしょうがないところまで行ったんだけど、リングス(総合格闘技団体)とかでリングドクターをやっていた野呂田(秀夫)医師に指導してもらって、今は毎日、心掛けて腰痛トレーニングをやってるんだけど、これは劇的に良くなったね。その体験も今、本に書いてる。



休みの日は1時間以上水中ウォーキング

―― 博士さんはここ数年前からまた特に精力的な活動をし始めたという印象があるんですが。

博士 うん、今は精力的だよ! もはややりたいことが多くて寝る時間がない現状、というか睡眠時間を減らさないと時間が足りない。でも、これは精神的には平気なんだけど、腰痛だとか、歯が痛いとか意志とは別に症状がでてくるね。

―― 健康のために行っていることはありますか?

博士 色々やってるけど、毎日飲んでいるのは青汁。スムージーではなく、生搾りの青汁の不味いのを4年くらい続けている。それと休みの日は必ずジムに行って水中ウォークマンをつけて、音楽やポッドキャストを聴きながら、前は1000m泳いでいたんだけど、今は1時間以上水中ウォーキング。だけど、俺が行く時間帯は老人の方が多くて、その方々が歩いているというより水に浮いているような行進なので(笑)。全然進まない。これは何の行進だよって思いながら、でもその光景を見ながら、自分はなんて平和を享受してるんだって思うね。昼下がりに老人たちとプールで歩いている人生って人類史のなかでも珍しいノドカな時代にいる、なんとついてるんだろうと思うの。ま、プールは純粋に町山智浩さんのラジオやポッドキャストが聞きたくて行っているんだけど。体を動かしながらじゃないと聞けない体質になった。たとえばテレビとか見る時も、何かトレーニングをやっていないと落ち着かない。カウチポテトみたいなことができないの。性分だね。



「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ」

―― やっぱり健康は大事?

博士 自分に言い聞かせているフレーズだけど『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』(1985年)って映画のタイトルがあるんだけど、それはスローガンだね。ミュージシャンの大滝詠一さんも『命あってのものだね。とりあえず命がありゃいいかと思ったんだ、音楽の前に』って言ってるんだけど、本当に今、50歳を超えてそう思う。芸人であることの前に健康だって。いま、『藝人春秋2』を書いているんだけど、その最終章は岡村靖幸さん。彼の将来の夢や野望も「健康」だって言ってる。全てを超越していちばん大事なのは健康なんですよ。それを伝えるために上下巻で720ページもある本を書いてるんだよ(笑)。

後編「水道橋博士が語る54歳の芸人像と死生観(2)観念ではなく体現するのが芸人」はこちら。

取材・文/戸部田 誠 撮影/奥西淳二

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水道橋博士(すいどうばしはかせ)

1962年生まれ、岡山県出身。ビートたけしに憧れ上京、86年に弟子入りし、浅草フランス座での住み込み生活を経て、87年に玉袋筋太郎と「浅草キッド」を結成。テレビ、ラジオ、漫才の他、文筆家としても活躍。『週刊文春』に連載コラム執筆中。

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『はかせのはなし』

KADOKAWA (1,200円 + 税)

『広報東京都』で2009~2014年に連載されたエッセイ「はかせのはなし」を全面改稿。さらに、書き下ろしの家族とのエピソードなどを加えた一冊です。

この記事は『毎日が発見』2017年8月号に掲載の情報です。

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