『ミニマリスト、1700万円で家を買ってリノベする 東京23区・築67年小さなボロ家がよみがえりました』 （森 秋子／KADOKAWA）第5回【全12回】
東京都内在住の森秋子さんは、子育てを機に、時間と家事に追われる生活から脱却するため、物を手放す暮らしを始めました。その知恵と生活のヒントを綴ったブログ「ミニマリストになりたい秋子のブログ」は、瞬く間に人気ブログに。そんな森さんが、都内23区内にある築67年の小さな再建築不可物件を、1700万円でリノベーションし、見事に蘇らせた過程をまとめたのが『ミニマリスト、1700万円で家を買ってリノベする 東京23区・築67年小さなボロ家がよみがえりました』（KADOKAWA）です。予算やスケジュール、実際にかかった費用などを公開しており、これからリノベーションを考えている方や、新築を検討中の方にとって、非常に参考になる一冊です。
※本記事は森 秋子著の書籍「ミニマリスト、1700万円で家を買ってリノベする 東京23区・築67年小さなボロ家がよみがえりました」から一部抜粋・編集しました。
築67年の空き家のリアル
内見当日は、夏の雨が降っていました。
第一印象は「お化け屋敷」。小さな庭の荒れようは凄まじく、隣の家まで侵食しそうな雑草群！ 古いものが好きな私でも「空き家」の放つ圧倒的な古さ、ボロさ、打ち捨てられている放置感に、張り切っていた気持ちは２秒でしょんぼり感に変わりました。
「ときの経過を感じる」「手入れしてみたくなる佇まい」なんて生易しいものではありません。ドアも窓も壊れ、不動産会社の担当の方から「もう土足でいっちゃってください」と言われ、元夫と二人で躊躇したのを覚えています。
靴を履いたまま入った家の中は、とてもジメジメしていました。
畳はフカフカして歩くたびに沈み、古い臭いが立ち込め、夏なのにうっすら寒い。謎の配線がむき出しで、荒んだアート作品のようです。
「嵐が来て、雨をしのぐ場所を探してこの家にたどり着いたとしても、私は雨に打たれて外で寝る」と言ってしまったくらい「ほんと ここムリ！ 絶対にムリ！」という気持ちになりました。
途方に暮れて立ちつくしている私たちを、担当さんは「ですよね」という感じで見守っています。「契約に進むことはないだろう」と思っている様子が、伝わってきました。
「空き家リノベーション」というと聞こえはいいですが、実際には相当な気合いと、覚悟と、お金が必要ということを実感できた内見でした。
帰宅して真っ先にお風呂に入りながら、「あそこを直すのに一体いくらかかるのだろう」「簡単なことではない」と思いつつも、ひっそりと立っていたボロくて小さな家のことが頭から離れませんでした。
