抜け毛は自分とは関係ないと思い、特に気にせず生活していませんか? そんな方は要注意! 髪は抜け始める前からケアすることが重要なのです。特別なことは必要ありません。衣食住を中心とした生活習慣を根本から見直すだけで、数年後の未来の自分の髪に先行投資することができます。最新の科学的根拠をもとに知識を深め、薄毛にならないための生活を今から始めてみませんか。
抜け毛にまつわるさまざまな原因や治療法、ケアなどを薄毛治療の第一人者である岡嶋研二先生に伺います。
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髪が抜けやすいのは秋より初夏です!
「夏のダメージを受けた髪が抜けることから、一般的には秋こそ髪の生え変わりの季節と言われますが、1年間の抜け毛量を調べたデータでは、秋の抜け毛はあまり多くありません。逆に、一年で一番、抜け毛が増える季節は実は5~6月の初夏です」と岡嶋先生。
自律神経のバランスが崩れると髪が抜ける!
なぜ初夏になると髪が抜けるのかといえば、季節の変わり目で寒暖差があるため自律神経のバランスが崩れやすいからです。そして、自律神経のバランスが崩れて、交感神経が優位になると、人の身体の成長に不可欠なアミノ酸が約70個連なってできた化合物である「インスリン様成長因子-1(IGF-1)」という物質が少なくなってしまい、結果、抜け毛に繋がるのです。
抜け毛が増える初夏は抜け毛を気にしすぎないのも大切です
実際に岡嶋先生のクリニックに通う患者でも、治療をしているにもかかわらず5月に髪の毛が細くなる傾向がみられるのだとか。これは男女共通のようです。
「5月病といわれるほど、初夏の自律神経の乱れは体への影響が強く出るのです。たとえ5、6月に抜け毛が増えてしまっても、季節柄、仕方がないと諦めることも大切です。抜け毛がストレスになり、さらに自律神経のバランスを崩してしまうという悪循環に陥らないようにしましょう。5、6月をすぎて、寒暖の差が少なくなれば、次第に髪は順調に増えていくことでしょう」(岡嶋先生)
初夏の抜け毛は「気にしない」ことが一番の薬のようですね。
紫外線を浴びることで抜け毛が増えるはウソ!
紫外線を浴びると抜け毛が増えるというのは、根拠のない俗説です。紫外線やLEDなどの青色光は、知覚神経の感度を上げてIGF-1を増やすことが分かっています。頭皮が炎症を起こしてしまうほどの日焼けはNGですが、適度に紫外線を浴びることで育毛効果があるといえるでしょう。夏は約30分、冬は3~4時間の日光浴がおすすめです。
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取材・文/荒井さやか
岡嶋研二(おかじま・けんじ)先生
1978年、熊本大学医学部卒業。1982年、熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士取得)。日本学術振興会特定国派遣研究員としてウィーン大学医学部への留学、熊本大学医学部助教授、そして名古屋市立大学大学院医学研究科教授を経て、2012年4月、名古屋Kクリニックを開院。血液学を中心に研究を進め、育毛作用を有するインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす新たな方法を見いだし、育毛効果を発揮する治療法の開発へと応用している。