健康のために運動を続けている人は数多くいますが、自分の筋肉が効果的に鍛えられているかまで気にする人は少ないのでは? せっかくの運動も、"筋肉若返りホルモン"が足りないせいで無駄になっているかもしれません。
筋肉を強化するホルモン
以前放送された『みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)では、筋肉を若返らせる秘訣について特集。筋肉のためには運動が一番なのですが、最近では運動してもなかなか筋肉がつきにくいという残念な状態の人が増えているようです。
番組では東京女子医科大学の市原淳弘先生が、筋肉が成長する仕組みを解説。筋肉は「筋繊維」と呼ばれる繊維状の細胞が束になって作られており、運動で刺激を与えると繊維が少しずつ太くなり強化されていくのです。筋肉を健康的に成長させるためには、運動だけでなく「IGF-1」と呼ばれるホルモンが必要。IGF-1が筋繊維を太くする指示を出すことで、筋肉の成長度合いは大幅に変化します。
このホルモンが体の中で十分に作られないと、同じ運動量でも筋肉の成長に大きく差がつくことに。60代の女性5名の筋肉年齢とIGF-1の数値を測定したところ、IGF-1が基準値に満たない4人は筋肉年齢が実年齢を上回っていることが明らかになりました。
4人とも日ごろから運動を欠かさないように心掛けていたはずなのですが、IGF-1が足りていないせいで損をしていた様子。この結果には視聴者からも「運動しても筋肉がつかないなんて」「そんなホルモン全然知らなかった」「まさに筋トレ中だから他人事とは思えない!」と驚きの声が上がっています。
IGF-1を多く作り出す食事
IGF-1を体の中で多く作り出すために、まずは食事の食べ方を改善していきましょう。筋肉年齢の若い女性は1回の食事に時間をかけており、ひと口を少量にしてゆっくりと食事を進めていました。食事に時間をかけることは、食後の血糖値が上がりすぎることを防止します。糖分が増えるとIGF-1の分泌が邪魔されてしまうので、短時間の食事で急に血糖値を上げることは避けたいところです。
食べ方に加えて、たんぱく質に含まれる「アルギニン」を摂取することでさらにIGF-1が増加。アルギニンが腸で吸収されると、脳を刺激してIGF-1の分泌を促進するのです。アルギニンが豊富な食材は、鶏肉や豚肉などの動物性たんぱく質や豆腐や油揚げなどの大豆製品。1日に食べる量は約5グラムほどでOKとのこと。
食事のペースと「アルギニン」の摂取に気をつけるだけで、筋肉はどんどん若返っていくはず。十分な運動と合わせて、効果的に筋肉を鍛えていきたいですね。
文/藤江由美