放置すると関節の破壊が進行し、全身に症状が広がる「関節リウマチ」。早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。「関節リウマチ」について、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿先生に聞きました。
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関節は動かさないと機能が低下します。「痛いから」とジッとしていてはダメ。関節をいたわりながら動かして、機能を守りましょう!
◆普段の姿勢&何げない動作
・手首の関節に負担がかからないように
立ち上がるときには手首ではなく、腕全体で体を支えるようにしましょう。
・背すじを真っすぐにする...下を向いたときも背骨が曲がらないように真っすぐを意識
・同じ姿勢を長く続けない...同じ姿勢を長く続けると特定の部位への負担が増すので、座りっぱなしは×
・適正体重をキープする...肥満は関節の負担を大きくします。食生活の見直しで体重のコントロールを。
・指先だけで持たないように
カバンの持ち手は指やひじで持たないで、肩に掛けることを心がけて。
◆関節トレーニング
ひじの曲げ伸ばし
左右の腕を同じ側の肩につけるように曲げて、ゆっくりと前に伸ばします。肩につけるのが難しいときには、片方の腕ずつ、反対側の手で支えながら行いましょう。
グーパー体操
両手をギュッと握ってグーにした後、指を大きく広げてパー。
*その他に...
家事の動作もリハビリの一環になるので、無理のない範囲で行いましょう。炊事はいすに座りながら。かたい野菜は電子レンジで柔らかくすると切りやすくなり、フードプロセッサーなどを使うと調理の手間も省けます。洗濯物を干すときには、物干し竿を干しやすい位置に下げましょう。痛みなどの症状が軽いときには、ウォーキングや水中ウォーキングで全身を動かすように。主治医の指示に従いながら筋肉を強化して、関節機能を維持する心がけが大切です。
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史
山中寿(やまなか・ひさし)先生
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長。三重大学医学部卒。米国スクリプス・クリニック研究所研究員などを経て、2008年より現職。関節リウマチ患者を対象とした大規模調査などの研究成果で、2012年度に日本リウマチ学会学会賞を受賞。