放置すると関節の破壊が進行し、全身に症状が広がる「関節リウマチ」。早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。「関節リウマチ」について、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿先生に聞きました。
◇◇◇
早期発見・治療のために原因解明はとても重要
年を重ねるとひざなどの関節痛に悩まされることは、珍しくはありませんね。でも、指などの小さな関節が腫れて痛みが伴うと、少し不安になることはありませんか?
小さな関節の症状は、「関節リウマチ」でも起こります。関節リウマチは、関節の痛みや腫れ、こわばりなどの症状が特徴で、かつては進行して日常生活に支障が生じる人も多くいました。そのため、手の指などの小さな関節が痛むと「関節リウマチかしら」と心配する人が少なくないのです。
「関節の痛みは、加齢に伴う変形性関節症でも起こります。手の指などの違和感で医療機関を受診して、関節リウマチと診断される人は少なくはないのです」と山中寿先生は話します。
関節リウマチの患者さんは国内で60万~70万人。指の関節が痛みの全てが関節リウマチではないそうです。関節リウマチは放置すると関節の破壊が進行し、全身に症状が広がるため、適切な治療を受けることが大切になります。早期発見・早期治療のためにも、関節の違和感が続くときには、医療機関を受診しましょう。
「関節リウマチの進行を止める治療法は進歩し、発症前と同じように日常生活を過ごせる方が増えています。症状の原因を知ることが重要といえます」と山中先生。
◆ご存じですか?「関節リウマチ」
そもそも「リウマチ」って何?
- 関節の痛みが、あちこちに移動する病気。
- 広い意味では関節が痛む病気全てを指すこともある。
関節リウマチってどんな病気?
- ●腫れを伴う関節の痛みがある症状
- 自己免疫疾患 自分自身の組織に向けて免疫が働いてしまう。免疫異常の状態。
- 原因は不明 遺伝的な要因、細菌やウイルスの感染など複数の要因がある。
<似ている症状で違う病気は>
変形性関節症
加齢や負荷のかけ過ぎで関節の軟骨がすり減って起こります。
外反母趾
合わない靴などによる足の指の変形。
腱鞘炎
骨を支える骨格筋の炎症で生じます。
あなたは大丈夫?~関節リウマチかどうか見分けるために~
□パジャマのボタンを外すのが厄介だ
□箸が上手に使えない
□歯ブラシが持ちにくい
□テレビのリモコンが押しにくい
□家の鍵を開閉するときに違和感がある
□ホチキスやハサミなどが使いづらい
□靴ひもやリボンが結びにくい
□手の指の第二関節あたりが腫れているような気がする
□起床してから30分くらい、手にこわばりなどの違和感がある
起床時の手のこわばりや指の第二関節の腫れや痛みは、関節リウマチでは起こりやすい症状です。そのこわばりが午後になると楽になるときは要注意。気になるときは早めに受診を。
次の記事「「関節リウマチ」と「変形性関節症」は原因に大きな違いがある!(2)」はこちら。
取材・文/安達純子
山中寿(やまなか・ひさし)先生
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長。三重大学医学部卒。米国スクリプス・クリニック研究所研究員などを経て、2008年より現職。関節リウマチ患者を対象とした大規模調査などの研究成果で、2012年度に日本リウマチ学会学会賞を受賞。