生きるために欠かせない! 海がもたらした体内の「電解質」/やさしい家庭の医学

pixta_24625336_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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水に溶けると電気を通す物質のこと
「電解質」

●ひどい下痢や嘔吐には点滴を

地球ではじめて誕生した生命は、海の中で単細胞生物として発生しました。単細胞生物は、長い時を経るうちに多細胞生物へと進化を遂げ、その中のあるグループが脊椎(せきつい)動物となり、陸に上がって空気を呼吸するようになります。そして、私たち人間が誕生しました。

いま、私たちは陸上で生活していますが、水中で暮らしていた太古の時代の名残は体内に留められています。それが「体液」と呼ばれる水分で、そこにはすべて「電解質(イオン)」が含まれ、海水と似たような成分になっているとされています。血液から羊水(ようすい)まで、私たちの体内の成分は海によってもたらされたものといえます。
 
電解質とは、水に溶けると電気を通す物質のことで、人の体内では筋肉や神経が興奮するときに必要なものです。また、細胞の浸透圧を調整する役割も果たしています。
 

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主な電解質は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロールで、ナトリウムやカリウムは筋肉の収縮や神経の伝達を助け、カルシウムは骨や歯をつくる源になり、マグネシウムは酵素の活性化を促(うなが)します。クロールは体の水分量や細胞の浸透圧を調整したりしています。
 
ですから、たとえばナトリウムやカリウムが極端に不足すると、筋肉や神経がうまく働かなくなってきますので、脱力状態に陥(おちい)ったり、意識の低下などが見られることになるわけです。

私たちが日常生活の中で電解質やイオンという言葉を耳にするのは、スポーツ飲料のテレビCMにおいてかもしれません。
 
太陽が照りつける暑い夏、スポーツのあとに飲んだほうがよいという、あのスポーツ飲料です。それらは汗をかいたことによって失った水分や電解質を補うためのもので、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれています。
 
これは、健康な人であれば水分補給にうってつけなのですが、下痢や嘔吐(おうと)などがひどいときに飲んでしまうと、さらに下痢や嘔吐を繰り返してしまい、水分や電解質をさらに失うことにもなってしまいます。それらの症状が深刻な場合は、電解質を含んだ点滴による治療がよいといえます。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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