「3日に1回」でもスッキリ感があれば"快便"です/中高年の便秘(3)

pixta_13351814_S.jpgお通じがスッキリしないと、下腹部に不快感があり、春物の薄手のスカートをはいたときにおなかがポッコリと出て、見た目にも「イヤだな」と思うことってありますよね。「病院へ行くほどではないけれども、なんとなく調子が悪い」という便秘は、放置すると大腸がんなどの病気のリスクが高まるので注意が必要です。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に聞きました。

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副交感神経によって腸の働きを良くすると同時に、腸内環境を整えることも便秘解消では重要になります。「腸内フローラを整えるには、エサとなる食物繊維が不可欠です。しかし、国内の食物繊維の摂取量は年々減少傾向にあります。食物繊維を1日3回の食事でバランス良く取り入れるようにしましょう」と小林先生。

食物繊維は、野菜などに多く含まれます。厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」によれば、野菜摂取量の平均値は、女性で270.5g、男性は283.7g。国民の健康増進を進める「健康日本(第二次)」の目標値は、平均値350gですから、男女ともに足りておらず、過去10年間で摂取量は減少傾向にあるのです。中には、「毎食ごとに野菜は食ベているけれど便秘がち」という人もいます。それは、野菜に含まれる食物繊維の種類が偏っている可能性があるのです。

「食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、野菜に多く含まれるのは不溶性食物繊維です。乳酸菌のような善玉菌といわれる腸内細菌は、水溶性食物繊維をエサにしているので、水溶性食物繊維を摂ることも大切です」と小林先生はアドバイスします。

水溶性食物繊維は、モズクやワカメなどの海藻類に多く含まれています。ですから、食事の際は野菜とともに海藻類も多く摂るようにしましょう。また、腸内フローラの細菌類のバランスを良くするには、乳酸菌や発酵食品も役立ちます。「病気につながるのは、偏った食事で腸内フローラの細菌類の構成が乱れることが原因と考えられています。腸内の免疫機能やホルモン分泌などに関わる細菌は、乳酸菌や発酵食品で数を増やすことが可能です。毎日の食事に取り入れるようにしてください」と小林先生。

乳酸菌は、ヨーグルトなどに含まれます。腸内フローラの細菌類は人によって異なるので、飲んだ乳酸菌が必ずしも腸内で増えるとは限らないのですが、ご自身の乳酸菌を刺激して増やすことにつながるそうです。一方、発酵食品も腸内フローラで良い働きをする細菌類をサポートします。みそ汁、ヨーグルト、納豆、キムチ、漬物なども、バランス良く食事に加えるようにしましょう。

さらに、頑固な便秘の人には、腸を刺激する生活習慣やエクササイズなども役立ちます。それでも「スッキリ排便できない」という人は、大腸にポリープなどの病気が潜んでいることもあるので、医療機関で受診を。

「快便とは、排便を意識せずに生活できることと考えてください。3日に1回の排便でも、スッキリしていれば問題はありません。回数を気にするよりも、スッキリ感を意識してください」と小林先生は話します。

今日から生活習慣を見直して"腸活"を心がけることで、便秘とさよならしましょう!

 

知っておきたい達人のツボ 1

◎下剤は時と場合によって
一般的に市販されている下剤は、腸を刺激して排便を促す作用があります。頑固な便秘のときには頼りがちですが、服用し過ぎると、センノシドといった生薬の成分で腸内が黒ずんでしまうことも。便秘解消に効果的だからと、薬による腸への刺激に頼っていては、腸の機能回復にはつながりにくく、腸内環境を整えることにもなりません。薬に頼るのではなく、腸の働きと腸内環境を整えるため、生活習慣を見直して"腸活"することが大切と考えましょう。

 
知っておきたい達人のツボ 2

◎腸で作られる幸せ物質セロトニンとは?
便秘になるとイライラしたり、不安になりやすいのは、幸せ物質と言われる神経伝達物質のセロトニンの減少が関与していると考えられます。セロトニンの大半は腸で作られるので、便秘になると分泌量が減るのです。

 

取材・文/安達純子

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小林弘幸(こばやし・ひろゆき)先生

順天堂大学 医学部教授。順天堂大学医学部卒。 ロンドン大学付属英国王立小児病 院外科やトリニティ大学付属医学 研究センターなどを経て、1995 年に順天堂大学医学部附属順天堂 医院に「便秘外来」を開設。日本 体育協会公認スポーツドクター。

この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。
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