お通じがスッキリしないと、下腹部に不快感があり、春物の薄手のスカートをはいたときにおなかがポッコリと出て、見た目にも「イヤだな」と思うことってありますよね。「病院へ行くほどではないけれども、なんとなく調子が悪い」という便秘は、放置すると大腸がんなどの病気のリスクが高まるので注意が必要です。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に聞きました。
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●体を動かして快腸
おなか回し+おなかつまみ
便は、大腸が曲がったところにたまりやすいので、その部分をつまんで回すと大腸を刺激して便を動かすことが可能です。力を入れ過ぎると痛むことがあるので、優しくつまむようにするのがコツ。動きの悪い腸には特に効果的です。朝晩1回ずつ行いましょう。
(1)両足を肩幅に広げて、右手は骨盤の上の辺り、左手はろっ骨の下辺りをつまみます。
(2)(1)の状態で、骨盤を時計回りにゆっくり回し、8回繰り返したら、次に逆回りも8回。
(3)終わったら今度は右手は肋骨の下、左手は骨盤の上をつまんで(2)を繰り返しましょう。
●体の中から快腸
朝の腸活:グラス1杯の水
コップ1杯の水を一気に飲むと、水が入った胃の重さで腸が刺激されて、腸の働きが活発になり排便につながります。
夜の腸活:オリーブ油またはアマニ油
固くなった便は腸内で留まり、肛門近くまで到達しても排便が難しいことも。オリーブ油やアマニ油は潤滑油になります。
腸の働きを良くするには、食物繊維や発酵食品などで腸内環境を整えると同時に、腸が動きやすいように刺激を与えることも大切。また、固くなった便をスムーズに出やすくする工夫も必要になります。朝のコップ1杯の水や、オリーブ油を活用しましょう。
覚えておきたい「食物繊維」のこと
野菜や果物、海藻類などに多く含まれる食物繊維は、消化・吸収されずに大腸へ届けられます。水に溶けない不溶性食物繊維は、水分を含んで膨らむことで腸を刺激し、水に溶ける水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やします。それぞれ特性があるため、バランス良く食べることが大切です。不溶性食物繊維は野菜、果物、穀物などに多く含まれ、水溶性食物繊維は、ワカメなどの海藻類、大麦などに多く含まれます。
取材・文/安達純子
順天堂大学 医学部教授。順天堂大学医学部卒。 ロンドン大学付属英国王立小児病 院外科やトリニティ大学付属医学 研究センターなどを経て、1995 年に順天堂大学医学部附属順天堂 医院に「便秘外来」を開設。日本 体育協会公認スポーツドクター。