毎日忙しく、寝ている時間がもったいない......と思っていませんか? 実は、睡眠を軽視するのはむしろ逆効果。最近の脳科学では、睡眠はただの休息の時間ではなく、記憶の定着や思考の整理に欠かせないものだと分かってきました。快眠こそが仕事や勉強の効率をアップさせ、"脳コスパ(コストパフォーマンス)"をあげることができるというのです。
脳科学に基づいて書かれた茂木健一郎氏の著書『脳が最高に冴える快眠法』から、現代人が取り入れやすい快眠のヒントをご紹介しましょう。
就寝1時間前の入浴でスムーズに入眠
著者の茂木健一郎氏によると、質の高い睡眠を確保するためには、眠る前にどれだけ脳がリラックスできているかが重要だといいます。入浴は、体と脳がリラックスできることに加え、快眠の鍵を握る体温調節もできるのでメリットが大きく、特に入浴1時間後の体温が低くなる時を狙ってベッドに入ると、スムーズに入眠できるのだとか。忙しいとついシャワーで済ませがちですが、38~40度のぬるま湯で半身浴をすると、寝つきがよくなるそうです。
日中の適度な疲労感が熟睡度合いを上げる
快眠のためには、自分の睡眠の"しきい値(熟睡度合い)"を知ることが重要なよう。少しの物音で目が覚めたり、夜中に必ずトイレに起きたりする人は、眠りが浅く、睡眠のしきい値が低い人なんだとか。そこで、睡眠のしきい値をアップさせるための方法として著者が紹介しているのが、日中に脳と身体に適度な疲労感を与えること。「『今日も一日やりきったな!』という満足信号が脳に届くことでドーパミンが放出され、睡眠のしきい値がアップしていく」といいます。
眠れない時は「ボーッ」とするのも手
頭の中がタスクだらけで眠れない、ということはありませんか? 茂木氏によると、頭の中をいかに空っぽにできるかが睡眠準備として大事なよう。そうすることで「デフォルト・ネットワーク」と呼ばれる無意識・休息時に働く脳回路が働いて脳のメンテナンスが行われ、それが上質な睡眠へのアプローチになるそうです。たとえ眠れなくても、アイマスクなどをして外部からの情報を遮断し、脳をメンテナンスモードに切り替えることが効果的なようですよ。
いかがでしたか? 日本人の睡眠時間は、平均8時間前後といわれています。人生の3分の1を睡眠時間に使っているとするならば、眠り方次第で人生をも変えられるかもしれません。最高のパフォーマンスを発揮するために、快眠法を早速実践してみましょう!
文/佐藤結衣
(茂木健一郎/河出書房新社)
快眠こそが、仕事の効率をアップさせる脳を育てる! 眠れないときの対処法から記憶力を高める眠り方、脳を覚醒させる仮眠など、誰にでも実践できる質の高い睡眠法を脳科学の見地から紹介します。