ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8)

ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8) pixta_34476554_S.jpg腰痛は多くの日本人を悩ませている病気で、その有訴者率(自覚症状のある人の割合)は男性で1位、女性で2位を占め、年齢が高いほど有訴者率も上がります(平成25年国民生活基礎調査)。それほど腰痛は身近な悩みなのです。

ヨーロッパでは"魔女の一撃"と言われる「ぎっくり腰」。個人差はありますが、何かの拍子で腰に"グキッ"とした痛みが走り、直後は日常生活もままならないことも。
この痛み、どのように対処したらいいのでしょう。予防法はあるのでしょうか。そこで日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医でもある東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児先生にお話を伺いました。

前の記事「発症する人としない人、何が違う?ぎっくり腰にならないための生活習慣/ぎっくり腰(7)」はこちら。

 

筋肉や骨などに関わる栄養素が大切です

腰痛を予防するためには、栄養バランスの整った食事が大切です。
特に、筋肉や骨に関わるビタミンD、骨のもとになるカルシウム、靭帯、椎間板(ついかんばん)などを構成するコラーゲンを合成するビタミンCは大切になります。

もちろんどの食品も取りすぎは別の病気を発症する原因になるので、摂取の上限量を考慮しつつバランスよく栄養を取り、適度な運動習慣を心掛けましょう。

 

◆ビタミンD

ビタミンDは、筋肉中のたんぱく質の合成を促す作用があるため筋肉強化に役立ち、またカルシウムの吸収を助ける働きもあります。筋力が低下して腰痛が発症しやすくなっている人、骨粗しょう症が気になる人は摂取を心掛けると良いでしょう。

ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8) A.jpg※日本人の食事摂取基準(2015 年版)より出典

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※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より算出した参考値

 

◆カルシウム

体の中では、古い骨が壊されて新しい骨が作られるという新陳代謝が毎日繰り返されています。新たに作られる骨の量が減り、その状態が続くと骨がスカスカになり「骨粗しょう症」になります。そのためカルシウムの摂取は、骨粗しょう症が原因の腰痛予防に期待ができます。

骨粗しょう症になった骨は、転んだとき、重い荷物を持ったときなどに椎体がつぶれる「圧迫骨折」を起こしやすくなります。特に高齢者の場合は大きな衝撃がなくても、知らず知らずのうちに微小な骨折が繰り返され、徐々に椎体がつぶれてしまう場合もあります。

50代前半までは男女とも、カルシウム不足が原因の骨粗しょう症による腰痛を発症することはほとんどありません。しかし女性は50歳台前半に閉経すると急激に女性ホルモンが低下し、骨粗しょう症が始まることが多いため、注意が必要です。男性の場合は女性より遅く、骨粗しょう症を原因とした腰痛は70代以降で多くなります。

ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8) C.jpg※日本人の食事摂取基準(2015 年版)より出典

 

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※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より算出した参考値

 

◆ビタミンC

椎間板は脊椎(背骨)を形成する椎体と椎体の間をつなぎ、負担を和らげるクッションのような役割を担います。この椎間板の主要な成分がコラーゲン繊維です。
椎間板は腰骨の滑らかな動きのためにとても重要です。コラーゲン生成に関わるビタミンCは、美容だけでなく腰にとっても大切な要素なのです。

ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8) E.jpg※日本人の食事摂取基準(2015 年版)より出典

 

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※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より算出した参考値

  

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取材・文/ほなみかおり

ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8)
<教えてくれた人>
近藤泰児(こんどう・たいじ)先生

東京都立多摩総合医療センター院長、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医、日本整形外科学会認定専門医・認定脊椎脊髄病医。1979年東京大学医学部卒業。都立駒込病院整形外科骨軟部腫瘍外科部長、東京都立府中病院(当時)副院長などを経て、2013年より現職。著書に『腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 正しい治療がわかる本』(法研)、『わかる!治す!防ぐ! いちばんやさしい腰痛の教科書』(アーク出版)など。

 

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