発症する人としない人、何が違う?ぎっくり腰にならないための生活習慣/ぎっくり腰(7)

pixta_33298583_S.jpg腰痛は多くの日本人を悩ませている病気で、その有訴者率(自覚症状のある人の割合)は男性で1位、女性で2位を占め、年齢が高いほど有訴者率も上がります(平成25年国民生活基礎調査)。それほど腰痛は身近な悩みなのです。

ヨーロッパでは"魔女の一撃"と言われる「ぎっくり腰」。個人差はありますが、何かの拍子で腰に"グキッ"とした痛みが走り、直後は日常生活もままならないことも。
この痛み、どのように対処したらいいのでしょう。予防法はあるのでしょうか。そこで日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医でもある東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児先生にお話を伺いました。

前の記事「ぎっくり腰はクセになる。その原因はストレスでした/ぎっくり腰(6)」はこちら。

 

生活習慣を見直して、予防しましょう

ぎっくり腰にならないためには、どのような生活を送ると良いでしょう?
腰痛の危険因子となるのは運動不足と喫煙、そして睡眠不足です。

1.運動不足
運動習慣がある人の方が腰痛になりにくいというのはよく知られています。特に高齢者では、運動習慣がある人の方が腰痛の発症率が低いという報告があり、筋肉自体を鍛えるだけでなく"適度な運動をする習慣がある"ことが大切です。ここで言う適度な運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳など、一般的に腰への負担が比較的軽いと言われているものです。特に、以前、ぎっくり腰になったことがある人は、ゴルフや野球、ボウリング、テニスなど、前かがみで腰をひねる動作が伴う運動はあまり適当とは言えません。行う場合には、十分、準備体操をして、長時間は行わないなどの注意が必要です。

2.喫煙
喫煙量が多い人ほど腰痛を発症するリスクが高まり、重度の腰痛で入院する人にも喫煙習慣がある人が多いです。腰椎(ようつい・腰の骨)を形成する椎体と椎体の間にあり、負担を和らげる役割をする椎間板(ついかんばん)は周辺の毛細血管から栄養が送られています。喫煙習慣があるとニコチンが持つ血管収縮作用などで椎間板に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、椎間板の老化が進行すると考えられます。

3.睡眠不足
一般的に、私たちの体は睡眠中に回復すると言われています。睡眠をきちんと取らないと、日々の生活の中で知らず知らずに起こっている椎間板、椎間関節、筋肉などの疲労(痛みを起こさない程度のごく小さい損傷)が蓄積し、腰痛が発症しやすくなります。規則正しい生活を心掛けましょう。

 

他に、職業も腰痛と深い関わりがあります。
重いものを持つ、腰部に激しい振動を感じる作業を行うなど腰への負担が大きい職業の人や、タクシードライバーのような同じ姿勢を長く続ける職業の人は、腰痛の発症リスクが高まります。日本国内の疫学調査では、腰痛の有訴率(自覚症状のある人の割合)が高い職業に事務、看護、介護、運輸、清掃、建設業などが挙げられています。

精神面も大切です。過度な労働は肉体面だけでなく精神面でも疲弊し、腰痛リスクが高まります。また、仕事に対する満足度、職場の人間関係、仕事量の多さ、仕事に対する能力の自己評価なども将来的に腰痛を発症する可能性が高まります。仕事に対する満足度の低さや、うつ状態などは予後(病状の回復)も良くないことが指摘されています。

  

次の記事「ぎっくり腰にならないための食生活とは~ぎっくり腰予防法【1】/ぎっくり腰(8)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり

<教えてくれた人>
近藤泰児(こんどう・たいじ)先生

東京都立多摩総合医療センター院長、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医、日本整形外科学会認定専門医・認定脊椎脊髄病医。1979年東京大学医学部卒業。都立駒込病院整形外科骨軟部腫瘍外科部長、東京都立府中病院(当時)副院長などを経て、2013年より現職。著書に『腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 正しい治療がわかる本』(法研)、『わかる!治す!防ぐ! いちばんやさしい腰痛の教科書』(アーク出版)など。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP