若いころは、夜はぐっすり眠って翌朝さわやかに目覚めていたという人も、年齢を重ねるにつれて、次第に寝つきが悪くなっていくようです。睡眠不足の状態が続くと、認知症や生活習慣病などの病気を引き起こす恐れもあります。まずは自分の睡眠が足りているかどうか確認してみましょう。
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白濱先生監修のすぐに眠れて朝まで起きない「ぐっすりストレッチ」。「ぐっすりストレッチ」は3つに分かれていて、ステップ1は入浴時、ステップ2は布団に入る直前、ステップ3は布団に入ってから、それぞれ1分間だけ簡単なストレッチを行います。1週間続けてみると、睡眠の質に変化が感じられるでしょう。
三つのストレッチで睡眠に変化が
ぐっすりストレッチは、「深部体温を上げてから、下げることを促す」「副交感神経を優位にする」といった睡眠に欠かせない要素を備えています。なによりも、ストレッチを行うことで"眠る準備ができた"と自分に睡眠のスイッチを入れることができるのです。
実際に、睡眠に悩む白濱先生の患者さんが、ストレッチを1週間試してもらった結果が下のグラフです。ストレッチ前は13.1%だった「深睡眠」の割合が、ストレッチ後は17.1%まで上昇しました。
ステップ1:入浴時に行う"1分間"首もみストレッチ
1.シャワーのお湯を首の後ろから当てて、首の筋肉や血管を温めるようにする。
シャワーは固定して42度のお湯を首の後ろに当てる。首には血管が集まっているので、温めることで深部体温が上がっていく。
2.首の横のくぼみを親指で軽くつまみ、上のように組んだ手を上下にゆっくり動かす。
首もみをすることで首こりを解消。血行促進につながり深部体温もさらに上がりやすくなる。
両手で指を組み首もみの準備
上下にゆっくり動かす
○ポイント
・首を強く押さえたり、激しく動かしたりせずに、常に優しく首もみをします。
・ストレッチ中に、のぼせやふらつきがあった場合は、すぐに中止することが大切です。
・シャワーに慣れずに抵抗がある人は、湯船につかりながら首もみを行いましょう。
取材・文/松澤ゆかり、山川寿美恵 イラスト/堀江篤史
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白濱龍太郎(しらはま・りゅうたろう)先生
睡眠、呼吸器内科、在宅医療専門クリニック「RESM新横浜」院長。筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。2013年から現職。メディア出演、著書など「睡眠」の分野で注目されている医師。著書に『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)などがある。