生きていく上で欠かせない三大栄養素はたんぱく質、炭水化物、そして脂質です。健康維持に役立てるには「量」と「質」を考えることが大切です。
脂質は、脂肪酸という酸で構成されていて、構造の違いによって分類することができます。その中には体内で合成できない、または合成量が少ないため、必要量を満たすには食物から摂取しなければなりません。
脳の認知機能、知力の維持(物忘れ防止)、血液サラサラ効果のある代表的植物油であるオリーブ油、えごま油、ごま油、亜麻仁油について、料理研究家で管理栄養士の村上祥子先生に教えてもらいました。
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えごま油
日本では「シソ油」の名前で親しまれてきました。必須脂肪酸であるα-リノレン酸をとても豊富に含んでいるオイルです。
【特徴】
えごまはシソ科の一年草。アジア全域で栽培されています。えごま油は種子から搾った油で「荏の油(えのゆ)」ともいわれます。乾性油(徐々に乾燥して固まる油)なので、防水性を持たせる塗料として油紙などにも用いられてきました。加熱調理した方がα-リノレン酸の体内での吸収が良くなります。
【健康効果】
えごま油は体に不可欠な必須脂肪酸が多く、特にn-3系のα-リノレン酸を類を見ないほど
豊富に含んでいることから、注目されるようになりました。それまで日本では「シソ油」の商品名で市販されていることが多く、韓国料理でよく使われるえごま油と日本のシソ油を別のものとする誤解も生まれていますが、同じオイルです。
【料理】
「そのまま使う」と思っている方が多いですが、加熱すると吸収率が良くなるうえ、おいしくなります。韓国料理ではナムルやチャプチェなどによく使われます。
【保存法】
紫外線で劣化するので太陽光や室内灯の当たらない冷暗所、または冷蔵で保存します。
おすすめレシピ
「なすのみぞれあえ」
1人分144kcal /塩分0.7g
材料(2人分)
なす...2個
えごま油...大さじ2
〈みぞれ酢〉
大根おろし(汁はきらない)...100g
A 酢...小さじ1
砂糖...小さじ1
塩...小さじ1/4
赤とうがらし(種をとりみじん切り)...少々
作り方
1. なすはへたを落とし、1.5㎝幅の輪切りにする。
2. フライパンを温め、えごま油を入れ、1 を並べ入れ、ふたをして中火で両面を焼く。
3. 大根おろしをボウルに入れ、Aを加えて混ぜたら、2を加えてあえる。
「たらこの磯部巻き」
1人分53kcal/塩分0.7g
材料(2人分)
塩たらこ(甘塩)...50g
焼きのり(8つ切り) ...2枚
えごま油...小さじ1
作り方
1. たらこは二つに切り、のりで巻く。
2. フライパンを温め、えごま油を入れ、1 ののりの巻き終わりを下にして並べ、弱火で両面返しながら4分ほど焼く。それぞれ半分に切って器に盛る。
取材・文/石井美佐 撮影/中野正景
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村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。食材の持つ力で健康寿命の延伸を図る研究に関与する。同大学内の「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。
公式HPはこちら。