夏の「夏型過敏性肺炎」 予防にはカビ対策が必須!(4)

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夏になると咳が出て、体が不調になる「夏型過敏性肺炎」。トリコスポロンというカビが、長期間、体内に侵入し続けることが原因です。「掃除は小まめにしている」と思っていても、カビは思わぬところに潜んでいます。千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科教授の中島裕史先生に、対策法を聞きました。

前記事:「よく似ているけど「ぜんそく」と「夏型過敏性肺炎」は違います」はこちら。

  

発症を防ぐにはカビ対策が大事です

「トリコスポロンは、湿気の多い木材に生じるため、高温多湿地域の古い家屋では繁殖しやすいのです。掃除ですべてを除去するのは不可能で、目に見えない状態で空気中にも存在します。そのため、患者さんの中には、古い木造の家をリフォームして症状が治まったという方もいます」と中島先生は話します。

お風呂場のカビを退治するのも、カビ用の洗浄剤を使うなどして手間がかかります。古い家屋の天井にまで繁殖したカビの除去は、一般の人には不可能ともいえます。そして、夏場は閉め切った部屋でエアコンを使用すると、エアコンによってトリコスポロンが空中を舞い、吸い込みやすくもなるのです。トリコスポロンを長年吸い込んでいると、誰もが夏型過敏性肺炎になり得ます。

「予防が何より大切です。夏型過敏性肺炎は、40代以降で発症しやすい傾向があります。軽症であれば治療に反応しますが、重症になると呼吸不全で死に至ることも。極端に免疫力が低下していると、トリコスポロンは血流に乗って全身を巡り、いろいろな臓器に障害を起こすこともあります。カビを侮ってはいけません」と中島先生は警鐘を鳴らします。

カビ対策に加えて免疫力低下にも注意を

お風呂場などに生えるアスペルギルスという黒カビも、ぜんそく患者にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症という病気を引き起こします。カビに対する強いアレルギー反応が起こり、気管支の壁が破壊され、たんが増加し、呼吸が困難に。通常のぜんそくでは、レントゲン検査で肺に異常は見られませんが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症では、気管支拡張や画像診断で肺炎と思われる症状が見られる肺炎像が認められます。夏場は、暑さによる睡眠不足や食欲不振などにより、体力が落ちて免疫力も低下しやすくなります。免疫機能が低下して働きが悪くなると、思わぬ病気にかかることも。カビを退治することは、自身やご家族を守ることにもつながります。

「カビによる呼吸器の病気は、専門医でないと診断が難しいこともあります。夏風邪は長引くといわれますが、症状が続くときには、一度はカビによる病気も疑ってみてください。原因を把握した上で適切な治療と予防を心掛けることが大切です」。

アレルギー疾患は、原因となる抗原を体内になるべく入れないことが予防の第一歩。原因を知り、予防をしっかり行うことで、アレルギー症状から解放されます。「旅先では元気になる」ことに加え、「自宅でも健康」を維持すれば、肺機能の低下も防げます。カビ対策で健康的な生活を実現しましょう!

トリコスポロンとはこんなカビです

●雨漏りや浴室の湿気で腐った木材、湿気を含んだ畳などに発生するカビ
●温度は25〜28度、湿度は80%で繁殖しやすい
●梅雨の時期や夏場に築年数の古い木造家屋の中で繁殖しやすい

次の記事:「放っておくのは禁物! 「夏型過敏性肺炎」の予防と改善」はこちら。

  

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<教えてくれた人>
中島裕史(なかじま・ひろし)先生
千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科教授。宮崎医科大学(現・宮崎大学)卒業、千葉大学大学院修了(医学博士)。気管支ぜんそく治療のスペシャリストで、アレルギー疾患の診断・治療を長年行う。根治療法を開発すべく研究にも力を注ぐ。
この記事は『毎日が発見』2017年7月号に掲載の情報です。
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