発酵食品の仲間である後発酵茶は、地域の中で生まれ守られてきたお茶です。なかでも代表的な品である、「阿波晩茶」と「碁石茶」の特徴をご紹介します。
前の記事「乳酸菌を多く含むと話題の"お漬け物のようなお茶"とは?/「後発酵茶」で腸内環境を整える!(1)」はこちら。
<阿波晩茶>
●産地:徳島県上勝町、那賀町
●製法の特徴:一番茶芽を夏まで伸ばし、成熟した茶葉を採取。茶葉を茹でて発酵を止めた後によく揉みます。その後、桶に詰めて乳酸菌などの微生物によって1~2週間ほど自然発酵させ、天日干しにします。
●味わい:発酵由来の酸味がほんのり。酸味が気になる場合は、冷やすと飲みやすくなります。
●注目の栄養成分と機能性
[食物性乳酸菌]
腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える作用があります。便秘解消や免疫力アップなどに役立ちます。
[抗酸化物質レゾルシノール]
お茶を発酵させることによってできる物質で、血糖値の上昇を抑える効果があり、近年、注目されています。
[乳酸菌FG]
抗アレルギー作用をもち、花粉症などのアレルギー症状の軽減に期待ができます。
●こんな楽しみ方も:お茶漬け、晩茶割り、晩茶チャイなど
<碁石茶>
●産地:高知県大豊町
●製法の特徴:夏場に摘み取った葉を蒸して発酵を止めた後、むしろをかけてカビを付け、一次発酵させます。その後、桶に詰めて乳酸菌でさらに自然発酵させた後、3㎝程度の角切りにして天日干しにします。
●味わい:甘酸っぱい味わいと香りが特徴。乳酸菌の量はヨーグルトの200倍といわれます。
●注目の栄養成分と機能性
[テアニン]
リラックス効果があり、記憶力や集中力を高めます。冷え性改善や快眠、更年期症状の緩和にも。
[ロイシン]
アミノ酸の一つで、筋肉を強くしたり、肝機能を高める他、ストレス緩和作用も認められています。
[GABA]
こちらもアミノ酸の一つで、平常心を保ったり、リラックス効果があります。また、血圧を下げる作用も。
●こんな楽しみ方も:茶がゆ
<おいしい飲み方>
(1)熱湯でグツグツ
沸騰した湯が入ったやかんに茶葉を入れ、火をつけて3分程度煮出します。香りを楽しむには、沸かし立ての熱い湯で抽出します。
【茶葉の量(水2ℓのとき)】
阿波晩茶...約10g
碁石茶...1個(約3g)
(2)水出しで飲みやすく
茶葉を入れた容器に水を注ぎ、2~3時間ほどおきます(一晩でも可)。冷蔵庫で冷やすと、さっぱりとして飲みやすくなります。
【茶葉の量(水1ℓのとき)】
阿波晩茶...6~7g
碁石茶...1個(約3g)
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/米山典子
中村順行(なかむら・よりゆき)さん
静岡県立大学食品栄養環境科学研究院・食品栄養科学部特任教授、食品栄養環境科学研究院附属茶学総合研究センター長。
小方奈緒(おがた・なお)さん
おがた・なお 「日本茶専門店 茶倉 SAKURA」(神奈川県横浜市)店主。日本茶カフェを営むお茶の達人。これまで訪れた産地は50か所を超える。