歩けば歩くほど、HDL(善玉)コレステロールは増加することが分かっています。しかし、「毎日歩いているのに、効果が出ない」「歩くと足腰が痛くなる」などとお悩みの方は、少なくありません。そこで、正しいウォーキングのコツを、歩き方教室を主宰する黒田恵美子先生に教えていただきました。
「歩く際に大切なのは、正しい姿勢と歩く時間、そして速さです。いくら長時間歩いても、足をするようにゆっくりと歩いていては、足腰を痛めたり、疲労が増すばかりで、健康効果は上がりません」。
では、正しい歩き方とはどのような方法でしょう? 「それは、腕を左右並行に伸ばして、そして後ろ方向に意識して振ること。それだけで、自然と体は前に進み、歩幅が大きくなります。すると、歩くスピードが上がり、運動強度も上がります」。
【正しい歩き方はここを意識しましょう!】
●歩くときは、顔を正面に向けます。目線は自由にしましょう。
●腕を伸ばし、平行に後ろに振るように意識します。長時間歩くときは、時々、腕を少し上に上げて手を振ったりすると、むくみの防止になります。
●おへその下あたりに、キュッと力を入れると、腰がぐらつきません。足運びもきれいに行えるようになります。
●着地はかかとからスッと行いましょう。地面から離れるときは、親指が最後に離れるようにします。
●シューズは、足に合ったものを選びます。足に合った靴を履いて紐をきちんとしめると、理想的な足運びがしやすくなります。
急に1万歩歩くのではなく、自分に合った歩数の目標設定が大切です。まずは、"普段何気なく歩いている1日の歩数+1000歩"を目標に歩いてみましょう。そうして、少しずつ増やして、8000~1万歩くらいを目標にします。また、ウォーキング後には整理運動を行いましょう。「年を重ねると、歩いた後の整理運動が特に大事。手足ぶらぶら体操は、手足の疲労物質を分解し、翌日に疲れを残さないために大変効果的です」。
【ウォーキング後の整理運動】
手足ぶらぶら体操
あおむけになり、両手、両足を天井に向けて持ち上げます。その状態のまま、両手、両足をぶらぶらと揺らします。1~2分行いましょう。
歩く時間帯は自由ですが、食後30分~1時間くらいのウォーキングは、血糖値を下げる効果があります。また、特に糖尿病の方の場合、空腹時にウォーキングをすると低血糖を招く恐れがあるので避けましょう。「歩くときに好きな景色を見るなど、健康とは違う目的をもつのもおすすめ。すると、自然と歩くことが楽しみに変わります」。
まずは無理せずに歩ける距離を知ることが第一歩。しっかり腕を後ろに振り、心地よく歩きましょう。
次の記事「コレステロール値の改善は食事の見直しから。主食+主菜1品+副菜1品で栄養バランスを整える!」はこちら。
黒田恵美子(くろだ・えみこ)さん
健康運動指導士、一般社団法人ケア・ウォーキング普及会代表理事、東海大学医学部客員教授。健康で美しく歩くことを目的とした歩き方教室、ひざ痛予防教室や指導者養成にも力を注いでいる。