社会的成功に不可欠なEQ(心の知能指数)も前頭葉と深い関係がある!/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(8)

社会的成功に不可欠なEQ(心の知能指数)も前頭葉と深い関係がある!/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(8) pixta_4961750_S.jpg毎週火曜、水曜更新!

「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

前の記事「前頭葉の働きがよくなれば腰痛や頭痛も改善する!?/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(7)」はこちら。

前頭葉の働きがいいとEQにもいい効果が期待できる

ここまでの話では、前頭葉の老化をスローダウンさせる、あるいは働きをよくすることで感情の不安定や痛みなどの人間にとって不快なことを取り除くことができるということを考えてきました。

さらにいうと、前頭葉の働きがよくなればプラス要因を生み出すこともできるのです。
仕事の能力として必要なクリエイティブな発想や柔軟な考え方、鋭敏な感性や人間関係を円滑に行う感情を読み取る力なども、前頭葉の働きによるものだからです。

このうち「鋭敏な感性や人間関係を円滑に行う感情を読み取る力」はEQと呼ばれるようになっています。
EQはもともとアメリカのイエール大学心理学部のピーター・サロヴェイ学長と、ニューハンプシャー大学心理学部のジョン・メイヤー教授によって提唱された概念です。この説を、心理学者でビジネス・コンサルタントのダニエル・ゴールマン博士がまとめて『Emotional Intelligence』という本を1995年に出版しました。これが全米で100万部の大ベストセラーとなり、その1年後に日本でも『EQ ― こころの知能指数』というタイトルで発売されて日本人の多くの人が知るところとなりました。

しかし、熱しやすく冷めやすい日本人の国民性なのか、EQの表面的なものだけが紹介されるにとどまり、あまり応用されたり、実用化されたりしていませんし、またいくつかの続編も多くの人には読まれていないのが現状です。

さて、EQは「心の知能指数」として、IQ(Intelligence Quotient:知能指数)では測れない能力を示すものとして紹介されたものです。
IQは高いのに社会で成功できない人がいるのはなぜかと考えたとき、こういう人たちは別の能力が低いからではないかと仮説が立てられ、調査研究がなされました。

IQが高いことは成功するための必要条件ではあるが十分条件ではない、EQも高いレベルで備わっていなければならない、というのがアメリカでの考え方です。
現在では、ハーバード大学のビジネススクールなどエリート教育のなかでEQ教育的なものが導入されています。IQだけを重視するのではなく、その土台の上にEQも高めていこうというのがアメリカのエリート教育の考え方です。

IQは脳の側頭葉や頭頂葉の機能を測るものですが、EQは前頭葉の働きを表すもので、たしかにクリエイティビティだとか、ものの考え方の柔軟性、考え方の切り替えの能力によい影響を与えています。
すなわち、ルーティン・ワークを行うときには側頭葉と頭頂葉しか使わないのですが、新しい状況に適応するとか、これまでにないものを生み出していくというときは、前頭葉を使うと考えられているのです。昔のようにルーティン・ワークを効率的にこなすことで大きな利益を得られていた時代にはIQだけが高い人でも仕事で成果を手にすることができました。

しかし、現在のように簡単にモノは売れず、時代の変化のスピードも非常に速い成熟経済においてはクリエイティブな発想や柔軟な考え方、鋭敏な感性や人間関係を円滑に行う感情を読み取る力などが高い人のほうが結果を出しやすいのです。
現在においてはIQだけでなく、EQが高い人のほうが成功しやすい。そして、EQは前頭葉の働きがよい人ほどそのレベルが高いとされています。

 

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和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

感情の不調は"脳"で治す! 医師にしてベストセラー作家が教える、誰でもできる習慣術。「笑い」を解放することが前頭葉を刺激する、「"こだわり"にこだわらない」がポイント、競輪競馬やゴルフ、マラソンの向上心は脳にいいなど、脳科学や心理学の知見によって得られた「効果のある」「実践的な方法」を一挙に紹介!

 
この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です

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