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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
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優等生タイプは自分で自分を追いつめる
僕が仲間の医師らと運営しているe -クリニックには、「もう治療法がない」と主治医からさじを投げられたにもかかわらず、腫瘍が縮小、あるいは消失して元気に暮らしている「がんサバイバー」たちがたくさんいらっしゃいます。
僕の先輩にもがんサバイバーがいて、彼は発病寸前まで昼夜の別なく身を粉にして働き、健康のために深夜のスポーツジムで汗を流すという、猛烈な生活を送っていました。責任感も強く、外科医という仕事柄もあってとても几帳面。周囲への気遣いも細やかで、患者さんの評判もよい、いわゆる〝いい人〞です。一般に〝いい人〞と評価される人は、誠実で責任感が強く、周囲の期待に応えようと必死にがんばります。
周囲の期待というのは、ひるがえせば、期待する側には自分にはできない、やりたくないから、いい人に押しつけてしまえという気持ちが働いています。
こういうマイペース型の人は、面倒なことを背負いこまないのでストレスを感じる機会も少なくてすみますが、期待に応えようとする側は、責任感が強いので、無理をしてでも自分の責務をはたそうとします。
世間の評価が高いのは、もちろん後者の優等生タイプ。しかし、がんばってしまうこのタイプの人は、「今日は疲れたから休みたいなあ」と思っても、「いやいや、今日中にこの仕事を片付けてしまおう」と疲れた体に鞭打ってやり通します。
休みたいのに休めないのは精神的なストレス、体の悲鳴を無視すれば肉体的なストレスになってしまいます。おまけにこのタイプの人は、生真面目なので手抜きができず、ひとたびトラブルが起こると、夜も眠れないほど悩みます。ストレスで不眠になると、今度は不眠が原因で体にストレスがかかるのです。
精神的なストレスは肉体のストレスもまねきます。自分は真面目で几帳面だと思うなら、直ちに満点主義を改め、さっそく今日から「いい加減」は「良い加減」と考え直し、赤点ラインぎりぎりの60点主義の生き方、考え方を身につけてみてはいかがでしょうか。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
文庫で大好評を博したベストセラー『9割の病気は自分で治せる』3部作のエッセンスを抽出し、読みやすく再構成したベスト版。自分の力で健康を保つための考え方&方法が満載です。