血圧を測るときはどんな姿勢がよい? 正しい血圧測定の仕方を知りましょう/「乱れ血圧」にご用心(6)

pixta_25978868_S.jpg高血圧は、動脈硬化や脳卒中などにつながる症状です。1日の中での血圧の乱れや、自分がどんな場面で血圧の乱れを起こしているのかを知るためには、血圧を測り、データに関心を持つことが大切です。正しく血圧を測るコツな測定のポイントを、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授で、日本高血圧学会理事の市原敦弘先生に教えてもらいました。

前の記事「70、80代は「首の頸動脈」に注意しましょう/「乱れ血圧」にご用心(5)」はこちら。

 

「24時間自由行動下血圧測定」で乱れ血圧を発見!

高血圧の治療をスタートするときに、市原先生の診療科では、ほぼ全員の患者さんに「24時間自由行動下血圧測定(ABPM)」を測定してもらうそうです。これは、携帯できる小型の血圧計のカフを腕に巻き付け、24時間ふつうに日常生活を送りながら、30~60分おきに血圧を自動的に測定し、記録するもの。血圧の変動、感情やストレスによる血圧の上昇、睡眠中の高血圧などをチェックすることができ、自分に合った治療法を見つけるのに役立ちます。

「血圧は24時間常に変動しています。健診で正常だった人も、食事、運動、睡眠、入浴、排便などの行動や、時間帯、温度、姿勢、ストレス、疲れ、感情の動きによって、急激に血圧が上がったり下がったりします。1日の生活リズムの中で、患者さん一人一人の血圧がどのように変化しているのか、その特徴を調べ、患者さんごとに抱える健康上の問題や、血圧を高めてしまう生活シーンを突き止めて、それを改めることが高血圧治療には必要なのです」

他の医療機関ですでに診断された人も、「24時間自由行動下血圧測定」をはじめ必要と思われる検査をすると、腎臓の病気が隠れていたり、ホルモンの異常が発見されることもあると市原先生は説明します。

 

測定で健康意識を高めて血圧上昇を予知

「もう一つ、重要なのは、自分で血圧をこまめに測ることです。高血圧は回復の実感に乏しいため、治療のモチベーションを維持するのが難しいのです。自分の体のデータを知り、治療効果を少しでもデータの数値で実感することが大事です。そのためには、いろいろな生活シーンで自分の血圧がどのような変動をしているかを実際に測定するようにしましょう」と市原先生は話します。

例えば、ある男性の高血圧患者が、就寝中に目が覚めることが多く、その際に自分で血圧を測ってみると異常に高い数値だったことに驚いて、病院で詳しく検査をしました。すると「睡眠時無呼吸症候群」であることが分かったそうです。こういうケースは決して例外的ではなく、高血圧の陰に隠れた病気を発見するのにも血圧のデータは役立つのです。

「血圧を測ることを通じて、自分の体に関心を持ってくれれば、不摂生な生活を改めて、もっといい数値を目指そうと、健康的な生活を心がけるようになります」と、血圧測定には広い意味での健康効果もあることを市原先生は常に患者に伝えているそうです。

実際に血圧を測ると「自分はこんなことで血圧が高くなるのだ!」という気付きがたくさんあります。例えば、ものすごく恥ずかしい思いをしたときや、待ち合わせの時間に間に合わないとき、夫婦げんかをしているとき...そんな感情の動きに呼応して、血圧も変動しているのです。

日ごろから血圧を測定する習慣がついていると、自分自身で「あっ、いま血圧が上がっているな...」と認識できるようになります。その際には「あまり血圧が上がらないように、そろそろこの辺で怒りを抑えよう...」と冷静になろうとしたり、深呼吸したりすることで、血圧は安定することもあります。

ここまで来れば、乱れ血圧も高血圧も怖くありません。さあ、初めの一歩として、今日から血圧測定を始めてみましょう。

 

【血圧測定のポイント】

何回、そしていつ測る?
・1日に1度でもよいが、できれば数回測っておきたい
・1度の場合は起床時(1日の中で最も高いはず)に測る 

◆自分のいちばん高い血圧を知っておこう!
・ 起床時/排尿後/食前/食後/食後1~2 時間後/運動前後/入浴前後

こんなときにも測ってみます
・イライラしたとき 
・リラックスしたとき

どんな姿勢で測る?
・座って測るときは背もたれのあるいすで

計測のやり方は?
一度の計測につき、2、3回は測っておくのが望ましいが、最大4回までにする(5回以上測ると上がることが多い)。最初の計測値は記録せず、2~4回目の平均値をとるか、全部記しておく。毎回同じ腕で測る。

 

【測り方のコツ】

血圧の変動幅は個人差がありますが、いちばん大切なのは、急に上がった血圧がすぐに安定すること。一度上がった血圧が元に戻らず、そのままの高血圧状態で数時間経過することがないようにチェックしましょう。もし血圧の戻りが悪い場合は、健診結果が正常だったとしても、念のため医師に相談しましょう。血圧を測定する腕はどちらでも構いませんが、毎回同じ腕で測定しましょう。

測り方の例 その1
あおむけに寝ている状態から → 上体を起こす
まずあおむけの状態で測り、次に上体を起こしたときに測定してみましょう。起き上がったときに血圧は低下し、その後、安定します。

1802p027_01.jpg

1802p027_02.jpg

◆測り方の例 その2
座っている状態から → 立つ
まず座っている状態で測り、次に立ち上がって測定してみましょう。立ち上がったときに血圧は低下し、その後、安定します。

1802p027_03.jpg

1802p027_04.jpg

次の記事「教えて、市原敦弘先生! 血圧のついての素朴な疑問/「乱れ血圧」にご用心(7)」はこちら。

取材・文/宇山恵子 イラスト/松元まり子

<教えてくれた人>
市原敦弘(いちはら・あつひろ)先生

東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授。日本高血圧学会理事。慶應義塾大学医学部卒。ホルモン異常や腎機能など高血圧の根本原因を突き止め治療する専門家として年間5000人以上を診る。

この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP