70、80代は「首の頸動脈」に注意しましょう/「乱れ血圧」にご用心(5)

pixta_37357628_S.jpg血圧はさまざまな要因で上昇・下降しますが、これが急激過ぎたり、乱高下したりする場合は要注意。血管にダメージを与え、体にトラブルが起こる「乱れ血圧」かもしれません。
ひと口に「乱れ血圧」といっても、年齢によってその原因は少し異なります。覚えておきたい2つの要因を、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授で、日本高血圧学会理事の市原敦弘先生が解説してくれました。

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70、80代は首の頸動脈に注意!

「首の血管」には、異常を感じるセンサー機能が備わっています。顔のエラにあたる下顎角(かがくかく)の下辺り、手を当てると脈を打つのが分かるところがあります。ここは「総頸(そうけい)動脈」という、頭と胴体をつないで血流を調節している大切な首の血管です。

この血管が詰まったり細くなったりすると脳に十分な血液が流れずに、脳の神経細胞が酸欠状態になり、記憶力の低下や認知機能の低下を引き起こす原因にもなります。

心臓が収縮して血液が押し出されると、血圧が上昇したことを感知する受容器(センサー)である「大動脈弓(だいどうみゃくきゅう)」、「大動脈体」、「総頸動脈」などが、血圧を正常に戻そうと、「圧受容器反射」を起こし、その刺激が脳の自律神経系に伝わって、心臓や血管に対して指示を出し、高血圧のときには心臓の動きを減少させ、低血圧のときには心臓の動きを増加させます。

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しかし70、80代になってくると、「圧受容器反射」機能の反応が遅くなり、気付かないうちに高血圧の状態が長く続いてしまうことも。この世代は、神経系の働きが衰えてきて血圧の変動が大きくなるのです。

加齢以外にも「圧受容器反射」を鈍化させてしまう原因として、「総頸動脈」の動脈硬化が関係しています。「総頸動脈」の伸縮性が失われると、血圧の変化を感知するセンサーが働きにくくなり、血圧を安定させるための信号を自律神経に届けにくい状態になるのです。そうならないように日頃から注意し、頸動脈エコー検査を受診するなど、しっかり気に留めておきましょう。

 

<コラム>
血管と内皮細胞の状態は、FMD検査と頸動脈エコー検査で調べられます

血管と内皮細胞の状態を調べるのに特化したのが「FMD(血管内皮機能)検査」。前腕または上腕にカフを着用して5分間血管を圧迫し、カフを外してから2分間の血管の拡張率を超音波で計測します。

「頸動脈エコー(頸動脈超音波)検査」は横になって首の血管に超音波を当てて、総頸動脈、左右の内外頸動脈の血管壁の肥厚、プラークの付着による動脈硬化の進行状態を調べます。人間ドック、内科、消化器科などで受診可能。費用は高血圧など治療中の人は健康保険適用・3割負担でFMD検査が1,500円程度、頸動脈エコー検査は1,000円程度です。

 

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取材・文/宇山恵子 イラスト/松元まり子

<教えてくれた人>
市原敦弘(いちはら・あつひろ)先生

東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授。日本高血圧学会理事。慶應義塾大学医学部卒。ホルモン異常や腎機能など高血圧の根本原因を突き止め治療する専門家として年間5000人以上を診る。

この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の情報です。

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