不安やストレスを減らして、心を平穏に保つ瞑想「マインドフルネス」が注目されています。世界的なIT企業の社員研修にも取り入れられ、仕事の効率が上がるという報告もあります。「最新の研究では、マインドフルネス(瞑想)は脳に良い影響を及ぼすことがわかってきました」と長谷川洋介先生。ここでは「坐る瞑想」を解説します。
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瞑想に入るための呼吸法
1 鼻呼吸で空気を吸い込む
口を閉じて、鼻から空気を吸い込み、喉、胸の順に空気をいきわたらせる。
2 慣れたら深まりを感じる
自然な呼吸を観察しながら、深まる呼吸を味わうようにする。
3 吸う息と吐く息の一瞬を観察
吸う息と吐く息に変わる一瞬、呼吸が止まる感覚を十分味わい呼吸を観察してみる。
4 呼吸の長さに注目する
吐く息は、吸う息よりもできるだけゆっくりと吐く。目安は吸う息の2倍の長さ。
「坐る瞑想」のしかた
1 足を組み姿勢を整える
足の組み方は両足をおろす「安楽坐」か、片足だけ組む「半跏趺坐」(はんかざふ)のどちらかを選択しましょう。体を前後左右に振り子のように揺らし、上体が安定して座れる姿勢をみつけて決めます。軽くあごを引き、両肩の力を抜きます。手は上向きにひざの上に軽く置き、腰を立てて姿勢を整えます。
▲座布団やクッションで体を支える
瞑想や坐禅用の座布団を利用。家庭にある座布団を重ねたり、折るとラクに座れる。
▲片足が組める人は「半跏趺坐」に組む
あぐらの姿勢から左足首を右もものにのせる。右足首を左ももにのせてもどちらでもOK。
▲腰痛がある人や足が悪い人はいすに座って瞑想しましょう
背もたれまで深く腰掛けずに、いすの3分の1辺りに腰掛け、背中は猫背にならないように気をつける。
2 呼吸に意識を向ける
手の位置はおへその下で軽く組み、鼻から空気を吸い込み、少しずつ息を吐きながら呼吸を観察。瞑想中は「過去・未来のこと」「家族・友だちのこと」「不思議な色・音・声」などが頭に浮かんだり、見えたりしてもそれにとらわれずに呼吸に意識を向けます。
▲瞑想中の目線は半眼(はんがん)
目は一度見開いてから、45度斜め前方1m先辺りを見つめ、まぶたを半分おろし半眼に。
3 瞑想終了
タイマーを使い「例えば10分座る」と自分の決めた時間がたったら瞑想を終了します。自然と心が整い、落ち着いていることに気付きます。終えるときは、最初に行ったようにゆっくりと前後左右に体を揺らし、少しずつ目を見開き、手、足を崩していきます。
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取材・文/松澤ゆかり 撮影(先生写真)/齋藤ジン
長谷川 洋介(はせがわ・ようすけ)先生
東京マインドフルネスセンター長・ディレクター。法政大学経済学部卒業。日本マインドフルネス学会会員、鍼灸師。著書に「知識ゼロからのマインドフルネス心のトレーニング」(幻冬舎)などがある。