水虫の正体はカビ!? 原因菌「白癬菌」って何?/白癬菌

pixta_5219062_S.jpg足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。

そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。

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湿度の高い環境を好み、ケラチンを栄養源に生きています

水虫は「白癬(はくせん)」という皮膚疾患の一つで、「白癬菌」というカビにより引き起こされます。白癬菌は40種類以上存在し、人に白癬の症状を引き起こすのは、日本ではそのうち約10種類。水虫の原因菌として一番多いのはトリコフィトン・ルブルム、二番目に多いのはトリコフィトン・メンタグロフィテスという白癬菌です。この2種類が水虫の原因菌の90%以上を占めています。

白癬菌は人の皮膚や毛、爪などに寄生します。菌の種類により棲みつく場所の好みがあり、足に棲みつけば水虫、頭に寄生すると頭部白癬...など、寄生する場所によって呼び名が変わります。そして、この白癬菌が好むものが「ケラチン」というたんぱく質と、「高温多湿」の環境です。

 
水虫の"かゆみ"は菌と戦う免疫反応の表れです

白癬菌は生きた細胞に棲むことはできず、死んだ細胞の中でのみ生きることができます。死んだ細胞は皮膚の一番外側にある角質層、そして爪や毛を構成しています。皮膚の内側を真皮(しんぴ)、外側を表皮(ひょうひ)といい、表皮の一番外側にあるのが角質層です。皮膚は、ターンオーバー(新陳代謝)により新しい細胞が生まれて角質層がはがれ落ちる、ということを繰り返しています。角質層はケラチンという硬いたんぱく質がつまった角質細胞でできていますが、このケラチンが白癬菌の栄養源になるのです。爪や毛も同じくケラチンでできています。

皮膚断面図.jpg

白癬菌はケラチナーゼという酵素を持ち、この酵素でケラチンを分解しながらゆっくりと皮膚を侵食していきます。白癬菌が菌糸をのばして侵食すると、人の体にとって異物である白癬菌を追い出そうとして免疫反応が働き、水ぶくれができたり、かゆみが出たりします。これが水虫の正体なのです。

また、白癬菌は高温多湿の場所を好みます。
日本で水虫は、裸足で草履を履いていた時代にはあまりなく、靴を履くようになってから広まったと考えられています。靴の中は湿度が高く、菌が繁殖しやすい環境だからです。実際私たちの足の指の間の湿度は素足のときは約80%ですが、靴を長時間履いていると約100%にもなります。一日中外を歩き回る夏場の革靴、冬場に履く女性のブーツなどは菌にとって繁殖するための好環境なのです。

 

次の記事「白癬菌の棲みかは足の指だけではありません/白癬菌(2)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり イラスト/添田あき

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仲 弥(なか・わたる)先生

慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。

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