ぎっくり腰になったら温・冷のどちらを使う?湿布薬の上手な使い方/ぎっくり腰(12)

ぎっくり腰になったら温・冷のどちらを使う?湿布薬の上手な使い方/ぎっくり腰(12) pixta_34690476_S.jpg腰痛は多くの日本人を悩ませている病気で、その有訴者率(自覚症状のある人の割合)は男性で1位、女性で2位を占め、年齢が高いほど有訴者率も上がります(平成25年国民生活基礎調査)。それほど腰痛は身近な悩みなのです。

ヨーロッパでは"魔女の一撃"と言われる「ぎっくり腰」。個人差はありますが、何かの拍子で腰に"グキッ"とした痛みが走り、直後は日常生活もままならないことも。
この痛み、どのように対処したらいいのでしょう。予防法はあるのでしょうか。そこで日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医でもある東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児先生にお話を伺いました。

前の記事「間違えると筋力が低下することも!コルセットの正しい使い方/ぎっくり腰(11)」はこちら。

 

発症直後は冷たい湿布薬をしましょう

ぎっくり腰になったらまず湿布薬を貼る、という人は多いでしょう。湿布薬は腰痛に効くのか、と問われると、どんな腰痛にも効果があるわけではありません。

湿布薬には消炎鎮痛成分が含まれています。そのため、皮膚から近い筋肉の疲労や損傷が原因のぎっくり腰には特に有効です。また、椎間板(ついかんばん)、椎間関節や靭帯などが原因の腰痛でも、筋肉の疲労や炎症が伴っていることが多いので、ある程度効果があると考えられます。

では、温かい湿布薬と冷たい湿布薬、どのように使い分けたら良いでしょうか。

一般的には、発症した直後の痛みが強い「急性期」には冷たい湿布薬、痛みが軽くなってきた「慢性期」には温かい湿布薬を使うといいと言われています。ぎっくり腰でも発症直後は冷たい湿布薬、痛みが引いてきたら温かい湿布薬を使用することになります。

冷たい湿布薬は含まれている成分の効果以外に、冷やすことで炎症を抑えることが期待できるので、急性期に使います。慢性期の腰痛は筋肉のコリが続いていることが原因であることも多いので、血行促進が期待できる温かい湿布薬を使うのです。

しかし、温かい湿布薬には、トウガラシエキスなど皮膚への刺激が強い成分が入っていますので、人により肌がかぶれたりする場合があります。アレルギーのある人や皮膚が弱い人は注意が必要です。

そこでおすすめなのが、冷たい湿布薬と"カイロ"の併用です。
肌に直接冷たい湿布を貼り、服を着ます。その上からカイロを貼って温めると、温かい湿布薬と同様の効果を得ることができます。

 

次の記事「ぎっくり腰にならないために!腰に負担をかけない椅子の座り方とは?/ぎっくり腰(13)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり

ぎっくり腰になったら温・冷のどちらを使う?湿布薬の上手な使い方/ぎっくり腰(12)
<教えてくれた人>
近藤泰児(こんどう・たいじ)先生

東京都立多摩総合医療センター院長、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医、日本整形外科学会認定専門医・認定脊椎脊髄病医。1979年東京大学医学部卒業。都立駒込病院整形外科骨軟部腫瘍外科部長、東京都立府中病院(当時)副院長などを経て、2013年より現職。著書に『腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 正しい治療がわかる本』(法研)、『わかる!治す!防ぐ! いちばんやさしい腰痛の教科書』(アーク出版)など。

 

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP