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そもそも骨盤は、仙骨、腸骨、坐骨、恥骨などが組み合わさってなっており、仙骨や腸骨の歪みやずれが骨盤の傾きの原因になります。
仙骨は、骨盤の中央にあり、腸骨と腰椎をつなぐ逆三角形の形をした骨です。仙骨に歪みやずれが生じると、首や肩、腰などの痛みを招きます。また、冷え性や便秘の原因にもなります。腸骨は、左右にあり、大腸のような骨盤内の内臓や、子宮、卵巣、膀胱といった生殖器を守ります。姿勢によって、1日の中で開いたり閉じたりしますが、この開閉がうまくいかないと、肥満や便秘、不眠、冷え性などの症状が出やすくなります。骨盤の最も下にあり、座ったときにいすと触れる部分が坐骨です。坐骨でしっかりと座ることで、正しい姿勢が保たれます。
ところで、40歳以上の女性の90%以上が該当するといわれる骨盤の後傾はどうして起こるのでしょう?
「骨盤の後傾が起こるのには複数の原因があります。一つ目は筋肉の低下によるもの。体の深層部にあり、体幹を支える4つの筋肉(腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤低筋群)が、加齢によって緩むことで腰をしっかりと立てることができず、骨盤が後傾しやすくなります。二つ目は姿勢の問題です。脚の外側に体重がかかった状態で立っている外側重心の人の場合、親指の力をしっかり使えずに脚の内転筋が弱って腰が落ちやすくなり、骨盤が後ろに傾きます。がに股気味やO脚になる人も多いです。また、姿勢が悪く猫背でいることが習慣化すると、頭部が前に出やすくなり、首や肩に負担がかかるだけでなく、骨盤は確実に歪んだりずれたりして、後傾しやすくなります」(細野先生)。
ほかにも、座っている時間が長い人の場合、いすに浅く腰かけ、背中から腰を丸めて背もたれにもたせかけていると骨盤は後傾しやすくなります。1時間のうちに5分は歩くとか、ストレッチをするなどして、座りっぱなしの生活を改善しましょう。
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細野周作(ほその・しゅうさく)先生
細野クリニック院長。国立東京医科歯科大学卒業後、東京都済生会中央病院などを経て独立。最新の栄養療法と骨格アライメント治療を用い、病気を未然に防ぐ「未病」に重点を置いている。