隣の芝生は青く見える......と思っていたら、意外とうちの芝生のほうが青いのではないか!? 「そうそう、そうなのよ」とうなずきたくなる相談から、驚き、びっくりな悩みまで、いろいろあります夫婦って。
定年後の夫婦問題はもとより、子ども世代や孫世代にリアルに起きている夫婦のさまざまな問題を夫婦問題カウンセラーの立木ミサさんと一緒に考えます。
Q 夫から30年前に言われた「結婚するつもりはなかった」という言葉が、今も忘れられません。
大学生のときに出会った夫と結婚して40年になります。結婚して10年後、喧嘩をした際に「おまえとは結婚するつもりはなかった」と、夫から言われた言葉が今もときどきよみがえってきてしまいます。ふたりの子どもたちは結婚して家を出て、夫とふたり暮らしです。夫は家業を継いで真面目に暮らしてきました。ただ、最近は夫の言葉がよみがえってくることが多くなり、そうすると夫婦の会話も少なくなります。この先、夫が引退したらふたりで向き合う時間が長くなるのか、と思うとゆううつです。(62歳・専業主婦)
A 夫婦は言葉よりも行動が大事なときがあります。
夫婦喧嘩のときに出た言葉が、30年ものあいだ心に刺さったままになってしまったのですね。月日が流れても、言葉のとげは抜けることがなかったのはつらい思いだったと想像いたします。ずっと、夫の言葉が、何か重しのようにあなたの心をとらえてしまったのだと思います。
言葉はときに大きな傷やこだわりを残してしまいます。特に夫婦喧嘩のときには感情ばかりが先走って、思ってもいないことや思っている以上のことを、言葉にデコレーションして放ってしまうものです。
心に刺さったとげは、この際抜いてしまいましょう。結婚して、40年順風満帆に夫婦でいられた。この事実のほうが今やずっと大切です。重ねてきた事実をしっかりと見ると、そこに答えがあるものではないでしょうか。ときに、夫婦問題というのは言葉よりも行動が大事なときがあります。言葉とは裏腹に行動は逆のことをしているとしたら、行動が答えなのです。「あなたと結婚生活を続けてきた」、それが夫の気持ちとイコールと思ってください。
もちろん言われた言葉に寂しさはあると思います。でもその寂しさを抱いていても、苦しいのはあなたです。40年間夫婦としてやってきた、そしてこれからも続けていくのですから、過去の言葉ではなく、今、目の前の夫とどんな楽しい会話ができるか、のほうがよほど大事なことです。とげを抜くのは夫ではなく自分です。そのほうが生きていくのは楽になると思います。
<まとめ>
過去の言葉は手放してしまいましょう。
立木ミサ(たつき・みさ)さん
夫婦問題カウンセラー。1959年、神奈川県生まれ。これまで1200人以上の夫婦問題に接し、男女、世代を問わずに夫婦に起きるあらゆる問題に取り組んでいる。「生き苦しさ」を乗り越えるためのサポートを主軸にカウンセリングを行っている。