子どもがいない夫婦は遺言を作るべき、というのは本当ですか?/法律・税金で悩んだらプロに相談

pixta_16938013_S.jpg最近は子供を持たず、夫婦2人だけで人生を楽しむ人も多くなりました。この場合、遺言や財産の相続についてはどうしたらいいのでしょうか。司法書士の小脇 盛先生にお話を聞いてみました。

 

【相談】
私たち夫婦には子どもがいません。相続に関し、「子どもがいない夫婦は遺言を作るべき!」と銀行員に強くすすめられました。どうしてでしょうか? 自宅の他にこれといった財産もないのですが...。(女性60歳)

 

小脇先生の【お答え】
遺言を作れば、配偶者に全ての財産を相続させることが可能になるからです。

その理由は、遺産分割が困難となるケースが多いからです。
家族構成にもよりますが、「配偶者に遺産の全てを相続させてあげたい」など、意志が固まっている場合には、遺言が必須と言ってもよいと思います。主な相続財産が自宅しかない場合はなおさらです。

あなたの場合、ご主人が亡くなると、相続人はあなたとご主人の姉(義姉)となります。法定相続分(相続する割合)は、あなたが3/4、義姉が1/4です。義姉が先に亡くなっている場合は、おいとめいがあなたと共同相続することになります(おい・めいの相続分は1/8ずつです)。

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そして、遺産分割は、必ず相続人全員で行う必要がありますが、関係が希薄な相続人同士で行おうとすると、困難となる場合があります。夫の両親ならまだしも、夫の兄弟姉妹、さらにはおい・めいと日頃から交流がある方は多くなく、冠婚葬祭で顔を合わせるだけの場合も多いでしょう。また、遺産分割はお金でも大変ですが、実際に住んでいる自宅を物理的に分け与えることはできないので、さらに困難です。

そこで、夫や妻が「全てを配偶者に相続させる」と、遺言を遺しておけば遺産分割をすることなく、遺産の全てを配偶者に相続させることができるのです。
兄弟姉妹は、前記の割合の相続分自体は有していますが、遺留分がありません(※遺留分とは、ざっくり言うと相続人に対して最低限認められる相続財産への権利のことです)。ですから、「全てを配偶者に相続させる」と遺言を遺した場合、兄弟姉妹やおい、めいは遺留分を主張することができません。

つまり、何ももらえない遺言の内容であっても、兄弟姉妹やおいやめいには異議を唱える権利がないのです。
もちろん自身の兄弟などに遺したい財産があれば、遺言に記載しておくことも可能です。

いずれにしても、遺言でしっかりと指定をしてあげることで、遺された側の負担も軽くなります。

遺言にはいくつか種類があり、作成に際してのルールもあります。作成する場合には、司法書士や弁護士など専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

  

坂本 剛(さかもと・つよし)先生
<教えてくれた人>
小脇 盛(こわき・しげる)先生

司法書士 東京司法書士会所属、司法書士小脇事務所所長。個人からの依頼による相続や遺言の相談をはじめ、不動産登記・商業登記や債務整理から成年後見まで幅広い案件を担当している。

この記事は『毎日が発見』2018年4月号に掲載の情報です。

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