不動産サイトのスマイスターは昨年12月、利用者に土地についてのアンケートを実施した結果を公表しました。その結果からわかった主なポイントは3つ。
1つめは「土地所有者の入手方法は相続が38.7%」、2つめは「土地持ちの33.6%は遊休地あり」、3つめは「アンケート全体の40.3%が土地活用に興味あり」です。
スマイスター調べ「土地に関するアンケート」より
「なぜ遊休地なのか」という質問には、30.8%が「相続したまま」と回答しています。土地を受け継いだものの、それを有効活用できていない状況が浮かび上がってきますね。
そこで、現在、遊休地をお持ちの方、あるいは将来土地の相続が見込まれる方などへ向けて、土地の活用の種類や、そのメリット・デメリットなどを考えていきましょう。
土地活用の人気トップ3は「戸建て賃貸」「駐車場」「賃貸アパマン」
参考までに、すでに土地を活用している方は、どんな使い方をしているのでしょうか?
スマイスター調べ「土地に関するアンケート」より
スマイスターのアンケートによると、1位「戸建て賃貸」27.5%、2位「駐車場」23.6%、3位「賃貸アパート、マンション」13.7%となっています。そして、ここ数年、注目を集める「太陽光発電」5.9%、「トランクルーム」2.0%、「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」0.0%は、それほど高くない結果となりました。
同アンケートによると、「今後土地活用したい」と思っている方も、ほぼ同じような希望を持っているようです。では、アンケート上位の土地活用は、どのような点が魅力なのでしょうか?
土地活用のリスクとリターンを考える
「土地を相続したものの固定資産税が高額で困っている」。最近、よくこんな声が聞かれます。所有している土地や、相続をした土地には、ただその土地を所有しているというだけで、固定資産税、所得税、相続税など、一定の維持費がかかります。その税金対策として、たとえば所有する土地で賃貸住宅を建築した場合、その土地の固定資産税評価額は6分の1に軽減されるのです。
土地はただ所有しているだけでは利益を生みません。計画的に土地活用をすれば、株式投資より低リスクで、預貯金金利に比べると高利回りの長期間にわたる安定した賃料収入が見込める可能性があります。そのほかに、例えば介護施設・診療所・保育園等が不足している地域に、それを建てるだけの土地を貸与すれば、立派な社会貢献にもなるでしょう。
しかし、こうした施設建築による土地活用は、メリットだけではありません。とくに賃貸物件は、「空室率」問題があります。土地活用を謳う建設、販売業者は上記の「安定した賃料収入」をメリットとして挙げますが、それはあくまで「借りる人がいる」ことが前提となってのこと。
平成28年度 住宅経済関連データ「住宅政策の展望と課題」より
国土交通省が発表している「人口の推移」を見ればわかるように、日本は人口減少社会に突入しています。それに歩みを合わせるように、都心部のオフィス空室率、郊外の賃貸物件の空室率が上昇してきています。要は人口が減少しているのに、賃貸物件が増加しているという「供給過多」の状況になっているのです。
駐車場も同様で、人口が減れば車の所有者自体も減ります。また、「若者が車を買わない」という状況もあり、カーシェアリングが発達するほど、車の総数は減って駐車場もあまり使われなくなる予想されます。設備投資の負担が少ない分、賃貸物件よりもリスクは低いのですが、今後は駐車場経営も決して「安定」なビジネスではないのです。
とはいえ、せっかく受け継ぎ、手元にある土地は、できるだけ役に立つように活用したいですよね。上述のメリット、社会貢献、リスクなども踏まえながら、将来を見据えて、いまから有効な土地活用を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
文/千葉洋一