『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』 (河野純子/KADOKAWA)第5回【全10回】
「人生100年時代は、まず女性にやってきます」──そう語るのは、女性向け求人誌「とらばーゆ」元編集長で、現在はライフシフト・ジャパンの取締役CMOを務める河野純子さんです。一般的に60歳は定年とされていますが、人生100年時代においては、それは人生の一つの転換点に過ぎません。その後の40年を「楽しく働き、自由に生きる」ことが重要だと河野さんは言います。『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA)は、60代以降、好きな分野で小さな仕事を立ち上げ、90歳まで続けるために必要な心構えや準備についてまとめられた一冊です。今回は、この本の中から、会社や家族のためではなく、自分の人生を生きるために知っておきたい情報やスキルを抜粋してご紹介します。
※本記事は河野 純子著の書籍「60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし」から一部抜粋・編集しました。
65歳までを「待ち時間」にしない
定年後も継続雇用を選んで65歳まで安定収入を得るというのも1つの選択ですが、その場合でも65歳までを「年金をもらうまでの待ち時間」ではなく、「雇われない働き方へとシフトする準備期間」ととらえると、仕事との向き合い方が変わってきます。
会社という場所は実はいろいろな専門家がいて多くのことが学べる場所。他部署や組織横断型のプロジェクトに顔を出して、独立後に必要となることを学んだり、将来何か知りたいことがあったときに気軽に相談できるネットワークを広げておくことはとても有益です。気になることを学び始めたり、新しいコミュニティに参加するなど、社外との接点を増やすこともチャンスにつながります。副業が認められているのなら、小さく始めてみるのもよいでしょう。
先ほど継続雇用を選んだ人の理由を紹介しましたが、変化や新しい学びを面倒がってしまっては、60歳からの人生を楽しむことはできません。また「会社から継続を頼まれた」という理由も気になります。会社は半分の給与でこれまで通り働いてくれるならありがたいはず。会社にとって「都合のいい人」になってはいけません。
銀行を定年退職後、キャリアコンサルタントに転身した山際祐治さんは、「これまで会社から与えられた仕事にまじめに取り組んできた人ほど、早めにセカンドキャリアについて考えたほうがいいでしょう。そういう人ほど会社に便利に使われて、年齢とともにどんどんやりたくない大変な仕事が増えていき、疲弊してしまうからです。自分の人生の主役は会社ではなく、自分なのだと切り替えてください」と話しています。
退職のタイミングは、金銭面も含めて賢く選択すべきですが、とにかく65歳までの時間を「消化試合」にしないこと、50代から「雇われない働き方」へシフトする準備を始めることをお勧めします。