「40代の女性です。高校時代、初めてのアルバイト先は、キラキラした大学生たちがいる書店でした。ですが、彼らの裏の顔はとんでもないものだったのです」
■人生初のアルバイト! 期待でドキドキだったけれど
私がまだ16歳だった30年前の話です。
高校生になったらアルバイトをしようと決めていた私は、どんなところでアルバイトしようかと胸を躍らせていました。
何件かアルバイトを募集していたお店に足を運び、その中でも、新しく駅前にできた書店はとっても素敵でした。
大学生のお兄さん、お姉さんたちはとてもお洒落で、みんな笑顔で丁寧に接客していました。
「絶対ここでバイトしたい!」と思い、すぐに応募しました。
初めての面接は緊張しましたが、無事に採用された時は、小躍りするくらい嬉しかったのを覚えています。
「最初の数週間は先輩に仕事を教えてもらう研修期間で、そのあとは独り立ちして頑張ってね!」という店長のアドバイス通り、毎日メモをとって頑張っていました。
そして2週間ほどたった頃、「ある程度は全体的に教わったかな? そろそろ独り立ちしてみようか」と店長に言われ、新人研修が終わりになりました。
そして、初めてレジのシフトに入ることになりました。
その日は、ニコニコしていて優しそうな大学生のAさん(20歳)と一緒のシフトでした。
すごく気さくで優しい方で、いろいろと話をしてくれました。
途中で分からなくなって困っている私を助けてくれたり、お釣りを間違えそうになったのをすぐ教えてくれたりと、すごく頼りになる優しい先輩だったのですが...。
■先輩が見せた裏の顔に背筋が凍った
少し緊張がほぐれた頃、カゴ一杯に本を入れたお客さんがレジにきました。
私がレジを打とうとすると、Aさんが「僕がやるよ。君は向こうの棚の本をカバー掛けしてくれる?」と言うので、レジをお願いしました。
少し離れた棚で私はカバー掛けをしていたのですが、手伝わなくていいのかなあ? とレジをチラチラ見ていました。
その時です。
Aさんが「250円です」と、カゴ一杯に本を持ってきたお客さんに、絶対にあり得ない金額を伝えたのです。
そのお客さんは小銭を支払ってそのまま帰っていきました。
私は呆気にとられてしまい、レジに戻ってAさんに聞いてみました。
「あの、さっきのお客さん、金額が250円って聞こえたんですが...」
すると、Aさんはニヤリと笑い「見られちゃった? さっきの客は僕の友だちで、あとで古本屋に持って行ってお金に換えるんだよ。こういうことは他の大学生バイトもやってるし。店長には絶対言うなよ」と言うではありませんか。
私はびっくりしてしまい、別の日に仲良くしてくれていたBさん(19歳)にその話を相談しました。
Bさんも「そんなことはみんなやってるよ。レジを通さないで、お金だけポッケに入れる子もいるよ」と笑って話すのです。
私は怖くなって、バイトを翌月で辞めることにしました。
何度も店長に言おうかとも思いましたが、高校生だった私は怖くなってしまって何も言えませんでした。
2年後、その書店は潰れてしまいました。
噂ですが、万引きが酷くて潰れたと聞きました。
憧れていた大学生たちの怖い裏の顔。
キラキラして見えるのは外見だけで、やっていることは犯罪です。
外見だけで判断して職場を決めることはしないでおこうと、高校生だった私は心に決めました。
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