「60代の男性です。バイクや車を自分でイジるのが趣味という方、世の中にはいますよね。私の友人にもそうしたマニアがいるのですが、ちょっと困ったところがあって...」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■バイク「オタク」の友人は少し面倒で...
いまから40年ほど前、1980年頃の話です。
当時、夢と希望に満ちた大学生活を送っていました。
実家を離れて大学に進学して1人暮らし、地方都市では車は欠かせませんが、当時の私の頼りの足は原付バイクでした。
大学で車を持つ学生は珍しく、友人たちの多くも原付バイクの愛用者でした。
そんな友人の1人がEくん(当時18歳)でした。
たまたま借りたアパートも近く、よく互いの部屋で語り明かしたもので、ずけずけと物を言い合える数少ない友人の1人でした。
私は、原付バイクは「走ればいい」というタイプ。
特に深い思い入れはなかったのですが、Eくんは違いました。
専門が工学系のこともあり、自分のバイクの整備はすべて自分でやる「オタク」な人物で、当然のことながら自分の愛車に深い愛着を持っていました。
「なあ、今日の俺ってどこか違ってない?」
初めてこう言われたのは、気持ちの良い季節になった5月、GW明けの久々の大学でのことでした。
「髪でも切った?」
「違う違う! なあ、分かんない?」
いつもの愛車にまたがりながら、ドヤ顔で聞いてくるEくん。
謎解きのような問いかけに困惑した私を見て彼は...。
「もう! バイクのミラーが変わったでしょ!」
ふくれっ面のEくんには申し訳なかったのですが、正直な話、以前のミラーなど覚えていません。
「まったく...鈍感なんだから」
不満げな様子のEくんでしたが、「かっこいいねえ」などと持ち上げるとすぐに機嫌を直してくれました。
■「なあ、今日の俺って...」は絶え間なく繰り返されて
その後も1カ月おきぐらいに、Eくんの「今日は...」は繰り返されました。
「オイル変えたんだよね。音が違うでしょ?」
「ヘッドライト、明るくなったと思わない?」
などなど、マニアックな改造に気づいてもらいたくて声をかけてくるのです。
口を開くたびに「ねえ、今日の俺って、どこか違ってない?」なのです。
気づかないと機嫌を悪くするのですが、「いいねえ」などとおだてると、すぐに改造のうんちくを語り始める憎めない性格の男でした。
2年生になった頃、Eくんが見たこともないバイクに乗ってきました。
流石に私も気づきました。
「すごいね、買い替えたのかい?」
そう声をかけると、喜ぶどころかいきなり不機嫌に。
どうやらバイクのエンジンにまで手を出して失敗し、お気に入りの愛車は廃車になってしまったとのことでした。
しかし、その後もマニアックな改造をしては「気づいてアピール」を繰り返し、そのたびに私たちはお決まりのやり取りを楽しみました。
いまでは彼の趣味は4輪にまで広がって、「どう、この吹き上がり、プラグが違うんだよね」と、たまに会っても相変わらずマニアックな会話を楽しんでいます。
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