「50代の男性です。バイト仲間に加わった一見常識的な中年女性。大人しそうな彼女に油断した頃、彼女がとんでもないことをやらかしてくれました」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■アルバイト仲間から「5万円貸してほしい」と言われ...
現在、56歳の私が15年程前に経験した事件です。
当時、転職活動中だった私は、飲食店でアルバイトを始めました。
気さくな店長は40歳で、20代から30代前半の仲間たちを上手にまとめていました。
店長の人柄もあってか良い雰囲気の店で、私も1カ月とたたずにあらかたの仕事を覚えました。
そんな折、バイト仲間に女性が1人加わりました。
40歳前の独身で、アルバイトで生計を立てているとのことでした。
内気な性格のためか、少なくとも私には彼女がみんなと打ち解けているようには見えませんでしたが、年齢が近いこともあり、彼女のシフトが一緒の日は努めて仕事を教えるようにしました。
そうして数日が過ぎた頃、私は彼女に呼び止められました。
「来月には必ず返します。少しお金を貸してくれませんか」
私は戸惑いました。
彼女とは知り合ったばかりですし、お金の貸し借りも嫌いでした。
やんわり断りましたが、それで終わりませんでした。
彼女は哀れを誘うよう言いました。
「私は何とかできるけど...猫が部屋の中でやせ細って可哀想で見てられない」
「栄養失調で体調が悪いのに、病院にも連れていけない」
結局、私は猫の話に同情してしまい、餌と病院代で5万円貸しました。
彼女は何度も深々と頭を下げ、目に涙を溜ながら「猫が喜ぶ!」と喜んでいました。
良かったと思う一方で、不安を感じずにはいられませんでしたが、まあ大丈夫だろうと私は思いました。
■無断欠勤、そして失踪!?
ある日、店に行くといつもは明るい店長の顔が曇っていました。
「あの人、今日も無断欠勤」
店長はシフト表の彼女の名前を指して言いました。
「もしかして彼女にお金とか貸してません?」
私は彼女に頼まれ、5万円貸したことを言いました。
「やっぱりか!」
店長は大きく溜息をつきました。
メンバーのほぼ全員が借金を頼まれ、私の他にも数人が貸したというのです。
私には「猫が可哀想」と言いましたが、メンバーそれぞれの人となりによってさまざまな理由を使い分けていたのでした。
店の中でのトラブルなので店長は責任を感じ、仕事の合間を見ては彼女に電話していましたが、すでに連絡がつかなくなっていました。
そして、数日後に店長が履歴書の住所を訪ねたときにはもぬけの殻だったそうです。
「警察に届けようか」
私たちは話し合いました。
被害額は私が最大でしたが、合計しても10万円足らずでした。
「返すつもりだったとも言えるしな」
結局、しばらく様子を見ようということになり、みんな内心ではあきらめつつ、一旦この話題は休止となりました。
そして半年が過ぎた頃、彼女が突然店の入口に現れました。
このチャンスを逃してはならぬと、仲間たちが彼女を取り囲みました。
彼女ときたら、慌てるどころか苦笑いしていました。
貸した金額をそれぞれが請求すると、慌てるなと言わんばかりに彼女は財布からお金を取り出して、みんなに渡しました。
私は最年長者として何か言わなければと思い、こんな状況を作った理由を問いました。
しかし、彼女は神妙にするどころか、にやにやして「ちょっと、いろいろあって」と言うだけ。
店は営業中だったこともあり、結局これだけで彼女は解放されました。
「返しにきたんじゃなく、カモをキープしたいだけだよ」
店長は辛辣にそう言っていました。
高額の詐欺など大きな事件として扱われますが、これくらいの金額だと単なるトラブルとして埋もれてしまいます。
しかし、私のような庶民は例え1000円でも無駄にしたくはありませんし、人からお金を借りて姿を消すなど常識的な人間のすることではありません。
残念ですが、世の中には危険な人間が混じっていると痛感した事件でした。
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