「50代の女性です。言葉の構造の違いや文法の複雑さから、日本人には習得が困難と思われがちな欧州言語。だからなのか、日本人観光客の前なら何を言ってもオフレコだと思っている人をよく見かけました」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■高級レストランで給仕係に「ゴリラ様」と呼ばれた私
約10年前、欧州のとある街に住んでいた頃の話です。
私(当時49歳)は某高級レストランのランチに招待されました。
燕尾服の初老の給仕係がモーニングスーツの若い給仕係たちに、いろいろと指示していました。
その日の私はスーツっぽいタイトな黒い上着にロングスカート、ハイブランドのスカーフを巻いていました。
新進気鋭のデザイナーとコラボした服で、フラッシュカラーの混じった迷彩柄のオシャレな新作でした。
装飾も素敵で料理も美味しくて、上機嫌だった私の耳に予想外の言葉が飛び込んできました。
「この料理は、あちらのゴリラ様にお出しして」
声の主を振り返ると、あの燕尾服の初老の給仕係でした。
「ゴリラ様?」
同じテーブルにいた得意先の手前、抗議もできませんでした。
確かに私はスポーツで鍛えたおかげで肩と腕の筋肉が隆々、それに迷彩柄スカーフがジャングルを彷彿とさせたのかもしれません。
しかし、言葉が分からないだろうと思って、堂々と悪口を言うなんて「言葉が通じないからって、こっちは客でしょ!」と思いました。
カンガルー、キリン、カバ、クマ、七面鳥とあらゆるパワフルアニマルに例えられたことのある私でも、ゴリラは初めて。
帰宅後、黒光りするゴリラの写真を確認して「こんなにいかついの?」と、改めて落ち込んだのでした。
■オフレコだと思って言いたい放題は欧州ではよくある話
欧州では、日本人が言語を理解していることは稀と思われているため、同じような目によく遭います。
例えば、地下鉄で私を男性と決めつけ、若い女性2人組に「あのバスト、本当は胸筋よね」と囁かれたことも...。
カフェの入り口に大きな犬が横たわっていたので、起こさないようにとソロリと私が通ると、飼い主が「うちの犬は、肉だんごは食べないんだよな」と呟いていたこともあります。
ただ、そんな言葉に接するうちに逞しくなった私は、他人の話などいちいち気にしない体質になるとともに、悪口であっても「ウィットに富んでいて面白い」と思えるようになりました。
そして「よく言うわ!」と反撃すると、日本人の女が自分のブラックジョークに反応したからなのか、まんざらでもない笑顔で喜んでいる感じがするのです。
ゴリラ様上等です!
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