「60代の女性です。亡くなった祖父の子どもの頃の話、幼い私は夢中になって聞いていました。でも、祖父が美味しいと言っていたあるものの食べ方だけは、まだ試したことはありません」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■祖父の子ども時代の驚愕のおやつ
祖父(享年82歳)は田舎育ちです。
いまから60年近く前の話です。
子どもだった私は、夏休みや冬休みになると、よく祖父の家に遊びに行きました。
その当時はまだ、茅葺屋根の家もちらほら見かけたことを覚えています。
外には薪を燃やした煙がもくもくと立ち上っていたものです。
祖父はお酒が大好きで、飲むと自身の子どもの頃のことをよく話してくれました。
当時の光景が目の前に広がるような話しぶりに、幼い私は夢中でした。
小学生の低学年まで、畑に出てはよくバッタを捕まえて食べていたそうです。
それってイナゴのことでは? と思う人もいるかもしれませんが、祖父の話を聞くと、確かにバッタだったそうです。
戦後間もない頃でしたので、畑の作物はあったものの、子どもが食べたくなるようなものは豊富でなく、もちろんおやつもなかったそうです。
バッタはカルシウムやマグネシウムが多く含まれていて、栄養も摂れるおやつだったとか。
田舎では、空が陰って見えるほど大量発生することもあったそうで、それを近くに住むいたずら坊主たちと虫取り網を持って駆けずり回って大量捕獲。
大きな網の袋に詰め、持って帰ったのだそうです。
よくイナゴを食べるというと佃煮を思い浮かべると思いますが、祖父曰く、もっと美味しい食べ方があるんだとのこと。
捕まえたバッタをよく洗い、必要であれば足や触覚を取り除き、軽く炒めて塩を振りかけて味を調整し、こんがりと焼けるまで炒め続けたものは、バッタ本来の味を楽しむことができるのだそう。
バッタ本来の味がどんなものかは分からないのですが、祖父に聞いたところ「エビの尻尾のような味かなぁ」とのこと。
「ショウリョウバッタ(頭が尖ったバッタ)は後ろ足が大きくて、そこについている小さなとげとげは口の中でひっかかりやすいんだよ~」
祖父は懐かしみながら話してくれました。
■現代では「バッタがおやつ」は当たり前⁉
このように祖父の話を聞いていた私ですが、未だにバッタを食べたことはありません。
ところがこの夏、昆虫食の自動販売機を見つけてしまいました。
そのラインナップは、イナゴ、蜂の子、カミキリムシの幼虫、タケムシ、カイコのサナギ、ゲンゴロウ、ザザムシ、トンボなどなど。
これらが1瓶だいたい1000円ほどでした。
よく見ると、タランチュラなんて毒グモまで販売していました。
せっかくの機会だから祖父を思って食べてみるか? と思い買いかけたのですが、やっぱり好きなものが食べたくて断念してしまいました。
でも、祖父がこの自動販売機を見たら、「俺が調理したバッタのほうがうまいぞ」なんて言うのかな、と思うとほっこりした気持ちになりました。
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