アメブロで「～こんな事を言っちゃあなんですが！～」を運営しているかづと申します。
【前回】友人の結婚式の司会を引き受けただけなのに！ 新婚夫婦の狙いはマルチ商法の勧誘だった!?
高校時代の同級生である百合に結婚式の司会を頼まれた。
事前に夫婦揃って挨拶がしたいと言うから家に招き入れたら、なんとマルチ商法の勧誘が始まった。
実はその数年前、夫の大学の友人からそのマルチ商法を何度も勧められ、何度も断っていたものの断り切れず、自分たちでその商品を使う分には問題が無いからと渋々入会する羽目になったのだ。
ところが入会直後から会員を増やすべく紹介するようしつこく言われるようになった。
会員を増やせばそれが私たちの『子』となり、その『子』の購入金額の数％が私たちに入る。
その『子』が更に『子』を増やし続けると、私たちは商品を購入することなく、『子』や『孫』が増えれば増えるほどその全ての購入金額の数％が私たちに入り続けると言うのだ。
『子』を増やさない私たちは商品を次々と買うように迫られだした。
まだ残っていると言うと「使ってないの？」とこれまたしつこく連絡が来るようになり、決して安い商品ではなかったので夫にいい加減やめてくれと言い続け、やっと数か月前に退会したところだったのだ。
百合は満面の笑顔でその怪しいビジネスとの出会いを語りだした。
知り合いから紹介された彼と付き合うことになり、その彼からサイドビジネスの話を聞かされ、ある日パーティーに誘われた。
そのパーティーはホテルのパーティー会場で盛大に開かれていて、参加者は皆ドレスアップしていて、百合いわく「シャンデリアがきれいで舞踏会みたいだった」と言う。
そこで彼が表彰されたそうで、舞台に上がった彼を全員で盛大な拍手で讃え、彼がスゴイ人だと思ったらしい。
それと同時に周りが彼に次々と賛辞を送り、彼の人望の素晴らしさに感動したと言う。
百合はキラキラと輝く目を彼に向け、彼はそれを受けて「いや～」と恥じらうような自信に満ちた顔になっていく。
近々彼はそのビジネスを本業にするので会社は辞める予定だと言い、百合も一緒に頑張っていくのだと話した。
私はというと、さっきまでお祝いモード一色だったものが一気に冷めていった。
「百合、実はね...」
百合に一連の話をし、数か月前に退会したことを話した。
百合ならこれで諦めてくれるはずだと思ったのは、やはり長年の親友だったからだ。
ところが百合としてみれば、「親友だからこそ」私なら入ってくれると思っていたようだった。
ましてや婚約者をこんな所にまで足を運ばせているので、私に断られては困るのだろう。
彼は彼でパンフレットやカタログを次々と見せてはシステムの説明をしだす。
夫は途中で席を立って自室に引っ込んで行き、私一人が百合と彼からの途切れる事の無い説明を受けていた。
「百合からあなたの事はいつも聞かされていて、お友達から信用されているとても人望のある方だと聞いています」
彼からそう言われたところで、もう私をカモだと見ているようにしか見えない。
百合は百合で、私が高校の頃に色んな委員や部活設立や生徒会活動に応援団長などの話をし、如何に私がすごい人で自慢の親友だと語る。
「でもな百合、私は子どももいるし勧誘やら商品を買うことは出来へんよ？」
わかってくれよ百合！
私はそう願いながら百合の顔を見て言った。
するとすかさず、百合は目を見開いて言った。
「それは大丈夫！ 説明は私がするから！ かづは紹介してくれるだけでええから！ かづは私と違って顔が広いやん？ 私が連絡したところで『あんた誰？』って感じやん？ 同窓会でもかづが声掛けて幹事してくれてるから、あんなにたくさん集まってくれてるねんやん！ かづが声掛けて紹介してくれたら、みんな絶対に信用するって！」
目の前で活き活きと話す百合が、別人に見えてきた。
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