がんで休職することになった「仕事ができる同僚」。エースが抜けると会社は...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ごんちき
性別:男性
年齢:49
プロフィール:東北の会社員です。妻と2人暮らし。

がんで休職することになった「仕事ができる同僚」。エースが抜けると会社は... 23.jpg

私の同僚の話です。

同僚は私より2歳年下の47歳。

私と部署は違いますが、大変優秀で人望も厚く、とても仕事熱心です。

20年以上勤めていて現在の役職は課長です。

多くの顧客や取引先に顔も利き、何かあると真っ先にこの同僚に連絡が来ます。

私も含め、周りは「〇〇君がいなくなったらウチは回らなくなる」と言っている程でした。

そんな同僚でしたが、今年(2023年)の2月にがんを患い、突然入院することになりました。

手術、入院、通院の諸々で復帰まで1年を要するとのこと。

治療を受ける同僚本人が一番大変なのですが、同僚の部署の社員たちも困っていました。

多くの案件を担当している同僚の仕事がどれだけ大変かは、容易に想像できます。

対応が難しい顧客や取引先も多く、誰もやりたがらない仕事ばかり。

同僚の部署の部長が「〇〇君の受け持ちの仕事なんだけどCさんできる?」と聞くと「イヤイヤ無理っす。〇〇さんの仕事複雑で面倒なんだもの」とあっさり拒否。

困り果てた部長は、他の部著にも同僚の案件を引き受けてくれるようお願いして回りましたが、みんな案件の面倒くささを知っていたため、お願いした全ての部署から断られてしまいました。

結局、部長は部署の全員で、同僚の仕事を少しずつ仕事を分け合って対応することにしました。

割り振られた当初はみんなバタバタして傍目にも大変そうでしたが、数カ月たった現在では、問題無くスムーズに回るようになってきました。

全員で知恵を出し合って改善した結果のようですが「〇〇さん(同僚のこと)いなくても大丈夫じゃん」と言う声も聞こえてきました。

つい先日、会社の代表として私がお見舞いに行ったときのことです。

会社の近況等を同僚に話して聞かせていると、突然同僚がぼそっと言ったのです。

「何か最近部長や△△さんから電話が来なくなったんだよね。俺が休み始めた当初はうるさいくらい電話やメールが来ていたのに...」

そう言っている同僚は寂しそうでした。

「まあ部長や△△さんも頑張ってくれているからね。慣れて来たんじゃないの」

「そうだよね。俺の仕事なんて結局誰だってできるんだよね。俺復帰したら机無くなっていたりして...」

などとネガティブ発言が出てきたので、あれこれ励ましてその場は取り繕いましたが、同僚の顔は曇ったままでした。

会社に戻ると△△さんをはじめ、同僚の部下たちがいきいきと仕事をこなしていきます。

誰かが抜けてもきちんと回るのが良い会社なので、彼らがいきいきと仕事に励むのはとても良いことと理解しています。

しかし、長年会社の面倒な仕事を一手に引き受け、頑張ってきた同僚を思うと素直に喜べないところもあります。

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