<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市の公務員男性、61歳です。地区の集会所で久々にバーベキューをする話が持ち上がっているのですが...。
「コロナも落ち着いてきたし、久々に集会所でバーベキューでもしないか?」
「いいねえ...ああ、でも、そうなるとあのラスボスのとこに行かなきゃなあ...」
「...また面倒なことを言われそうだなあ、どこか別なとこにするか?」
2023年4月頃、こんな話があって、結局、集会所ではなく少し離れたバーベキューサイトでの会合となりました。
特に制限もなく使える集会所は、いわば地区の社交場で、折りに触れてさまざまな会合が行われていました。
しかし、それは「ラスボス」と呼ばれるOさん(40代)という女性が現れるまでのこと。
5年ほど前になります。
集会所の隣家で、集会所の鍵を管理しているお宅にOさんが住むようになりました。
Oさんは結婚して実家を離れていのですが、足が悪くなった母親(80代)がいよいよ不自由を感じて、娘のOさんに帰ってくるように頼んだらしいのです。
Oさんの夫は仕事の関係で転居できなかったため、Oさんだけが帰ってきて母親の世話をしながら同居するという話でした。
「ってことは集会所の鍵もOさんにお願いするようになるわけだ」
「Oさんか...結婚して少しは性格が変わってるといいけどね...」
子どもの頃からこの地区に住む私の妻(当時53歳)の不穏なつぶやきの意味は、そのときは分かりませんでした。
「また飲み会ですか? 飲み過ぎじゃないの?」
集会所の鍵を借りに行った知人(当時50代)は、Oさんからいきなりこんなことを言われたらしいのです。
「まいったよ。何の飲み会だ、とか、誰が来るの? 何時まで? なんて事細かに聞かれちゃってさあ」
「しょうがないからメンバーの名前を出したら、え、あの人も? あの人、若い頃はねえ、なんて眉に唾するような話まで聞かされてさ」
妻の不安は的中しました。
Oさんは子どもの頃から何かと難癖をつける性格で、ゴシップ好きで知られていた方でした。
「麻雀は禁止ですよ。なんでって? うるさいからですよ」
「子ども会? 汚すんだよね、子どもって。学校でやってもらえないですかあ?」
いままで聞いたこともない勝手なルールめいたことまで言い始めて「使用を断られた!」という人まで出てきました。
さすがにこれは腹に据えかねた人が出てきたようで、区長さん(当時70代)にも苦情が寄せられました。
区長さんは、地区の集会所なんだから地区の人には自由に使ってもらいたいという考えを伝えたそうです。
それに対するOさんの答えはこうだったとか...。
「私はたまたま集会所の隣りに住んでいるという理由で、善意で鍵の管理をしているんですよ。すぐ隣で騒がれて嫌な思いをするのも、散らかったゴミを片付けざるを得なくなるのも私なんですよ」
「いい加減な使い方はただただ迷惑なんで、ちゃんとした使い方をしてもらいたいだけです」
こんな調子で延々と言い張られて、やむなく引き下がらざるを得なかった、ということでした。
その後もOさんは「ラスボス」の役割を演じ続け、地区のひんしゅくを買っていました。
幸か不幸か、その後まもなくコロナ禍に陥り、地区での集会は基本的に自粛となりました。
集会所を使うこともなくなり「ラスボス」と対決する労は取らずに済んできたわけです。
しかし、そろそろ何かと「集まりをしようか」という機運が高まる中、Oさんの存在は改めて悩みのタネとなりつつあります。
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