「なぜ、私にだけ聞こえたんだろう? 今でも首をかしげる不思議な体験があります。それはある雪の夜、玄関から音がして、そこで『いるはずのない人物』と会話をしたのです。そして、後に衝撃的な事実が明らかになり...」
親や夫、子ども、友人に職場の同僚、ご近所さん...。アラフィフ女性を中心に、みなさんから寄せられた人間関係の「モヤモヤ」「スカッと」「泣ける」実体験エピソードを、過去の人気記事をもとにして漫画で再構成しました。この時、あなたならどうしますか?
「おかしいなあ...誰もいないと思って引き返しちゃったのかな? でもこっちの声は聞こえてたはずだし...」
妙な気分になりましたが、寒かったこともあり、早々に部屋に戻って、そのときはあまり気にかけませんでした。
その翌日、また来客がありました。
今度は町内会の役員さん(当時60代)でした。
喪服を着ていらっしゃったので、どこかでご不幸があったのだなとすぐに分かりました。
「ご苦労さまです。どちらのお宅ですか?」
葬儀のお知らせを受け取りながら、なんの気なしに伺いました。
「いやあ、Aさんが昨夜亡くなられて...」
耳を疑いました。
「Aさん? まさか...」
「ねえ、ほんとまさかですよ。Aさん、お元気そうだったのにねえ」
「そんなバカな! Aさん、昨夜、回覧板を届けに...」
言いかけて、背筋がゾッと寒くなりました。
その日の夜、お通夜に出向きました。
お通夜の後、喪主であるAさんの息子さん(当時40代後半)にお悔やみの言葉をかけようとすると、衝撃の事実が明らかになりました。
「いやあ、昨日さあ、あんたのとこに回覧板を持ってくって言って、家を出たとこで倒れたんだよ。すぐ病院に運んだんだけど、その日の夜にねえ...」
「ほんとに突然で...あの、夜って...その、何時頃?」
「8時過ぎでした。倒れてから半日で亡くなるなんて、ねえ」
あの不思議な声を聞いた時刻と同じです。
寒気がしてきて、その場はお悔やみを伝えて早々に退散しました。
「風の音かなんかでしょ。気のせいじゃないの? ちゃんと声を聞いたわけなじゃないんでしょ?」
妻はその場にいなかったので、『気のせい』という一言で切り捨てられてしまいました。
一緒に声を聞いたと思った子どもたちは、
「お父さんがお帰りって言ったから、そう思っただけだよ」
「声? 聞こえたような気もしないわけじゃないけど...」
そう聞こえただけで、確かに気のせいだったのかもしれません。
回覧板を持っていけなかったことが、よっぽど心残りだったのでしょうか?
オカルトやら心霊現象やら信用しない私ですが、その声だけは不思議なくらい耳に残っています。
あの夜、Aさんの声を私は確かに聞いたのです。
漫画:黒木めめ/原案:「毎日が発見ネット」みなさんの体験記
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