帰ってこない隣人と「警察」を名乗る怪しい中年男性...身の回りであったリアルに怖い話

約15年前に建売を購入しました。

同時期に5軒ほど売り出された建売住宅で、購入した人たちは、ほかの家もだいたい2人くらいの子どもを持つ家庭です。

地方都市ながらも近所付き合いはあまりなく、ほかの家庭のことは家族構成くらいしか知らないような状態です。

仕事をしながら子育てしている家が多く、ゴミ出しの時に挨拶する程度の付き合いでした。

そのうちの1軒に母子家庭の方がいました。

子どもは2人とも男の子で、高校生と中学生の2人兄弟です。

購入して5年くらい経った頃、お気の毒なことにその家のお母さんが病気になり、しばらく見ないうちに亡くなりました。

特に付き合いもなかったですし、お葬式も家族葬をされるということでお悔やみをいうこともできませんでしたが、今後お子さんたちはどうやって暮らしていくのかと心配していました。

その後、様子を見ていると、兄のほうは高校をやめて県外に出てしまったようです。

弟のほうは中学校の頃からやんちゃをして数回補導されていたようで、高校には進学せず建設関係の仕事に就いたようでした。

1人で家に残った弟は、連日のように友人を家に呼んでいました。

ただ、派手な感じの若者たちの出入りはありましたが、特に近所迷惑になるようなこともありませんでした。

しかし、母親が亡くなって1年経った頃、その家には誰も帰ってこなくなりました。

弟も家を出て行ってしまったようで、空き家となってしまいました。

家ができてから5年ほどしか経っていなかったのですが、人がいなくなると荒れるのも早いものです。

あっという間に草が生い茂る廃屋のような状態になりました。

それからずっとその家は空き家状態で、正直売れるうちに売ったらいいのにと思っていましたが、去年の夏ごろに弟が帰ってきたようです。

朝早い車の出入りを見ると、普通に働いている様子でした。

戻る前に業者に頼んだのか、庭がさっぱりしてよかったなと見ていたのですが、また2カ月ほど前にいなくなりました。

近所の人の話では、どうも1回目にいなくなったのは違法薬物をやって捕まったという話だったので、もしかするとまた何かしてしまったのかと思っていました。

そんなある日、うちの玄関のベルが鳴り、開けると中年男性がいました。

男性は警察関係の方だそうで、例の弟さんの行方を捜していて、近所の人に事情を聞いているとのことでした。

「なにかご近所とトラブルとかあったりしましたか？」などと質問が続きました。

特にトラブルはなかったので、弟が帰ってきていたのは知っているけれど、特に迷惑をかけられるようなことはなかったことを説明しました。

気になったのは、その中年男性から「警察関係の者です」と言われたものの、警察手帳は見せず、名前も明かさなかったことです。

その中年男性が帰った後、怪しい...と思った私は、近所のママ友にその話をしました。

すると、そのママ友の家にも同様の警察関係と名乗る人が来て、弟の家向きに監視カメラをつけさせてくれと言われて、監視カメラをつけたそうです。

その中年男性は名刺を置いていくわけでもなく、設置してから2カ月くらいたつのに何も連絡がないと言っていました。

監視カメラの電気代もそのママ友の家で負担していますし、何も連絡してこないなんてそっちのほうが怪しいよね...なんて2人で話しています。

そして、それから弟が帰ってくる様子はなく、いまだにママ友さんの家に取り付けられた監視カメラは空家を録画し続けています。