14歳の息子を持つ男性と結婚したべにゆうさん(当時40歳)が、悩み、傷つきながらも家族との距離を縮めていく実話コミックエッセイ『14歳男子の継母になった私』がKADOKAWAより出版されました。書籍化を記念し、原作者のべにゆうさんにコミカライズされた作品への思いや「印象に残っているエピソード」について聞きました。
―特に印象に残っているエピソードはありますか?
べにゆう:一番思い出すのが、息子が中3の時の最後のサッカーの試合の日です。中学最後の試合で負けて号泣していた息子。あんなに転げまわるほどに泣く人を見たことがありませんでした。その時に思わず息子の背中をさすったのが、私が息子に触れた最初だったんです。夫にとっても私にとっても色濃く残る瞬間でした。
「実の母親でない」劣等感。それでも「母」という言葉の重みを感じた日
―ご自身や家族のことが漫画になると聞いた時はどう思いましたか?
べにゆう:一言で言うと「えっ?」です。夫とも「漫画になるってあの漫画だよね?」とよくわからない会話をしていました(笑)。どんな風になるのかは全然想像がつかなかったのですが、やはり嬉しい気持ちはありましたね。今では、夫は汐田まくらさんの描く私をすごく気に入っています。
―ご自身の身に起こった出来事を、漫画というフィルターを通して客観的に読んでみて、どのように感じましたか?
べにゆう:いろいろあった過去の出来事も過ぎてしまえば「意外とそんなに大変じゃなかったのかも」と思い出補正されたりするのですが、漫画を読んだら、「あぁ...確かに大変だったわこの時」と当時の気持ちが鮮明に蘇ります。もちろん、最初の頃は夫も息子も私も3人共が気を遣いながら生活していたはずで、私だけが大変だったわけじゃないのですけどね。漫画の中で、自分が落ち込んでいるシーンを見るとその時の辛さを思い出す反面、なんだか懐かしくて笑えてきちゃうこともあります。全体を通して明るく描かれているのを私は気に入っていて、夫も同じ気持ちだそうですよ。
漫画になった家族のエピソードを読むことで、当時の気持ちが鮮明に蘇るというべにゆうさん。汐田まくらさんの描くキャラクターのいきいきとした表情とコミカルなタッチで、辛かった記憶も穏やかな気持ちで振り返ることができるようです。
取材・文/宇都宮薫
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