<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女性
年齢:54
プロフィール:子ども大好きアラフィフ兼業主婦。赤ちゃんを見るとほっこりしてしまいます。
今年54歳になった兼業主婦です。
これは25年ほど前、私がまだ20代の頃の話です。
当時、私は息子(現在25歳)を出産したばかりでした。
その頃、私は息子の出産のために田舎に里帰りしており、義実家が家を改装工事するとのことで、出産後もしばらく息子と一緒に私の実家で過ごしていました。
そのため、産後の定期健診は地元で開かれたものに参加していました。
ある日、公民館で集団予防接種が行われ、私も息子を連れて行きました。
当日、その公民館ではBさん(当時40代くらいの男性)という方の講演会も行われていました。
Bさんは元俳優さんらしく、若い頃は特撮ヒーロー作品に出演されていたこともあるそうです。
残念ながら、私は息子がそれなりに大きくなるまで戦隊ものなどは見たことがなかったため、当時はBさんのことを知りませんでした。
ただ、公演内容がご自身の育児経験ついて語られるというもので、男性視点の育児について当時はまだ珍しかったこともあり、時間もあるので少し覗いていこうと会場に近づきました。
しかしそのとき、息子が急にぐずり始めたのです。
普段、息子はとても物静かな子で「本当に寝ているか確認した方がいいんじゃないか?」と家族に言われてしまうほどでした。
定期健診も周りの子が泣いている中、私の息子だけは不機嫌そうなものの、特に泣き声をあげることはなかったのです。
それが講演真っただ中の会場に入ったとたん、びっくりするほどの大声で泣き始めてしまったのです。
会場の視線が私と息子に注がれ、公民館の方にも「講演中ですので、泣きやませることはできますか?」と声を掛けられてしまいました。
私は「すみませんっ」と謝り、慌てて息子と一緒に出ていこうとしたのですが、なんとBさんが壇上から降りて来て、息子を抱っこして...。
「子どもは泣くもんよ! いいぞ~元気に育て、もっと泣け~!」
おろおろする私の前で、そう言って息子をあやしてくれたのでした。
育児に積極的に参加されたとあっただけに、すごく慣れた手つきで息子をあやしてくれて、息子も最後にはキャッキャと笑っていました。
Bさんは私に息子を返しながら「また泣いてもあやしてあげるから、よかったら僕の話聞いていってよ」と言ってくれました。
私がお礼を言うと、会場からは拍手が巻き起こりました。
その後、私も気まずい思いをすることなく、Bさんのお話を聞くことができました。
話の内容もよかったのですが、息子をあやしてくれた姿が今でも忘れられず、ヒーローと聞くとBさんの顔が浮かびます。
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