<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女性
年齢:53
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる53歳の自営業。
先月から入院していた82歳の父が退院することになりました。
治療の途中ですが、父のたっての希望で一時的に退院することになったのです。
きっと、面会も禁止になっているこの頃のせいで、病院生活が嫌になったのだと思います。
家族としては治療が終わるまで頑張ってほしかったのですが、言い出したら人の意見を聞かない父ですので、受け入れて迎えに行くことになりました。
そして、かねてより「退院が決まったら教えて」と言われていた姪に連絡しました。
姪は20歳の大学生で他県に住んでいます。
車の免許を取ったばかりの姪は、退院前日に授業を終えた足でこちらに帰ってきて、私と兄と一緒に父を迎えに行ってくれました。
姪が一緒に行くことをあらかじめ父に話しても良かったのですが、ここはサプライズだと思って、敢えて秘密にしました。
父の病気について詳細を聞かせていないせいか、姪は病院に着くとちょっと楽し気に病室に向かいます。
病室の前で改めてたっぷりと消毒液を使って手を消毒し、マスクの位置を直すと、一番最初に病室に入りました。
父はびっくりするだろうと期待しましたが、ただポカンとするだけ。
姪だけではなく私と兄も不安になるほどのポカンぶりでした。
しかし、姪が「じいちゃん、N(姪の名前)だよ、分かる?」と話かけると、父はようやく「分かってるよ! お前、帰ってきたのか!?」と満面の笑みを浮かべました。
姪も笑顔になって、一気に場が和みました。
姪は初孫で、父はブランコを手作りするなど、とてもかわいがっていました。
姪も父を慕ってくれていて、面会ができないからと入院中にはお見舞いの品に手紙を添えてくれたほどです。
その後、父と姪がお互いを気遣った言葉を掛け合っている姿を見て、私も気持ちが明るくなりました。
お世話になった医師と看護師さんから今後のことや、自宅での生活の注意点などを伺って病室を引き上げるときのことです。
姪は「じいちゃんの車いすは私が押すからね」と意気揚々に言います。
なんでも、バイト先で車いすの方のお手伝いをする機会があり、本人いわく「ちょっと上手に押せるようになったんだよ」とのことです。
上手かどうかは分かりませんでしたが、最大限に父の笑顔を引き出してくれたことは間違いありません。
私と兄ではこうはいかなかったとしみじみ思ったものです。
父の本当に嬉しそうな笑顔を見るのも久し振りで、姪に感謝するとともに「いい娘に育ってくれて」と、叔母バカながらうれしくなりました。
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