<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:52
プロフィール:50を超え、体調を崩すたびに健康のありがたみを感じる52歳です。
今から5年前のことです。
朝、目覚めたとき、体に違和感がありました。
右手首から指先にかけての感覚がなかったのです。
仕事用のズボンに履き替えるとき、ウエストのボタンが留められず、これはおかしいと気づきました。
右手首は一切の力が入らずダランとしており、歯ブラシを持つのにも難儀する有様でした。
通常、こういった体調のときは休みを取るべきなのですが「具合が悪くても会社には顔を出せ」と若いときに仕込まれた悪癖に駆られ、とりあえず会社に向かいました。
会社についてすぐ、私は役員や上司に体調について報告し、右手首の状態を見せた途端、みんな心配をしてくれました。
しかし、直属上司のAさんは「こんな状態で出社してくるんじゃねぇ!」と強い言葉をかけてきました。
「いざとなれば、みんなでお前の仕事のカバーぐらいできるんだ!」
「もし脳の病気で、大きな病だったらどうする気だ!」
そう怒鳴りつけられました。
このAさん、65歳を超えた方で、職人気質で少し口が悪い、と言うか荒っぽい人でした。
そして、どんなに調子が悪くても絶対に病院には行かないこと、とても医者嫌いな人、として社内では有名でした。
「病気だろうがなんだろうが、気合一発で治せるんだよ、俺は」
そう言い放つくらいの医者嫌いなのですが、そんな人が部下の体の心配をして怒鳴りつけて来たことのギャップが、なんだか面白くて少し笑ってしまいました。
Aさんは「笑いごとじゃねえだろ!」とさらに怒鳴ります。
しかし、Aさんの上司が「え~~? Aさん、自分は病院に行かないくせに、人のことはそんなに強く言うんだ?」と言われて、黙り込んだAさんを見て、私を含め、周りにいる人たち全員が吹き出してしまいました。
その後、職場の近くの大きな病院で検査を受けました。
CT、MRIや血液検査などなど、半日かけてさまざまな検査を受けた結果、脳の異常は全く見られず、恐らく一時的な神経の不具合であろう、と診断されました。
診断結果をAさんに報告するため電話をかけると「脳に異常がないからって油断するなよ」との言葉に続いて「休みになったからって調子に乗ってビール飲みすぎんなよ!」とおまけの一言まで。
その後、病院から処方された薬を服用すると、次第に右手の握力が戻り、3日ほどで元通りに治りました。
私の体調は回復したのですが、Aさんの印象は以前より好転!
「口は荒いけど、とても優しいおじさま」と呼ばれるようになり、Aさんは「馬鹿にしてんじゃねぇ!」と怒鳴り散らしてますが、それが照れ隠しであることは、職場のみんなが分かっています。
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