<この体験記を書いた人>
ペンネーム:マナ
性別:女性
年齢:42
プロフィール:10歳息子・夫と3人暮らしのワーキングマザーです。
数年前から認知症を発症し、今年に入ってからも進行を続け、昼夜を問わず徘徊し行方不明になることが増えた父(72歳)の話です。
今までも数回ほど行方不明にはなっていたのですが、頻度としては数カ月に1度くらいでした。
しかし、ここ数カ月は、散歩に行ってくると出かけたら自宅が分からなくなり、24時間以上見つからないことが増えてきました。
数分で帰ってくることもあるため、母(68歳)もすぐには警察に届け出を出さないのですが、その間に遠くへ行ってしまうのです。
先日も24時間ほど行方知れずになり、真夏だったこともあって、発見されたときは軽い熱中症になっていたそうです。
しかし、認知症の父はそんなことも分からず、緊急搬送を断固拒否!
こんな気温の中、「生きて見つかったことが奇跡だ」と言われました。
母はすでに心身ともに疲れ切っており、正常な判断ができない状態です。
このままだと2人ともダメになってしまう...私を含めた周囲はそう判断し、通い始めたデイサービスのケアマネージャーさん、役所の方々と父の今後について緊急会議を開きました。
その結果、母だけでの介護は難しいと判断し、幸運にもタイミングが良く、たまたま空きが出たグループホームに急遽入所が決まりました。
月曜日にケアマネさんたちとの会議、火曜日に私、母、兄嫁も含めた緊急会議、そしてその日にいくつかの施設の見学に行きました。
さまざまな書類に記入し、水曜日には入所の準備、木曜日に健康診断、金曜日に入所でした。
目まぐるしく過ぎていく日々に思考が追い付かない母。
「お父さんは認知症じゃない」「いつ帰ってくるの?」「何日間いるの?」と言動がおかしくなっていきました。
まだ入所して間もないので、父も自分の荷物をまとめ「家に帰る」と言っているようです。
また、母は今まで家族を養ってくれていた父を追い出すようで申し訳ないと泣いています。
両親がこの生活に慣れるまでは少し時間が必要ですが、これが核家族化が進んでいる現代の介護の現実なんだと思います。
昔のように地域の人が常に見ている、3世帯の大家族で暮らしている状況とは違い、現実は老々介護です。
娘としても、離れて住んでいることや、仕事のこと、家族の生活のことなどを考えると一緒に住めず、もどかしさがあります。
何があるかわからないので、夏休みなのに息子をどこにも連れて行ってあげられず、留守番ばかり...やるせない気持ちです。
これからは実家に行っても気軽に父に会えないと思うと涙も出てきます。
しかし、行方不明になるたびに「誰かを傷つけていないか」「電車にひかれたら賠償金なんて払いきれない」「もう生きて会えないかもしれない」と落ち着かない気持ちで過ごすことがないので安心です。
介護に関しては、家族で解決しなければいけないことばかりだと感じています。
施設はあるけれど、資金を援助してもらえるわけではありません。
社会全体で考えていかなければいけないのでは...そう感じています。
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