<この体験記を書いた人>
ペンネーム:abby
性別:女性
年齢:56
プロフィール:猫ラブ・ベジタリアン・夫は外国人。
14年前の話です。
当時、わが家には5匹の猫がおり、一番若い2歳の雄猫はピピンという名前でした。
ピピンは保護猫です。
ある日、玄関の前に1匹の子猫がポツンと座っていました。
おそらく誰かが捨てていったのだと思います。
生後2カ月ぐらいで黒白模様の柄がとてもかわいい猫でした。
健康状態はあまり良くないのか、じっと座りこんで動きません。
とりあえず家の中に入れて猫缶を与えると、少し食べてくれて安心しました。
わが家にはすでに4匹の猫がいたのでこの子をどうするか悩みましたが、放っておけず飼うことにしました。
そうしてピピンと名付けました。
獣医さんに連れて行き、健康診断やワクチン接種などを済ませ、元気に育つにつれて先住猫たちとも仲良くなり、幸せそうにしている姿を見ると、保護してよかったなと思っていました。
でも、2歳を過ぎたある日、ピピンは突然亡くなりました。
夫(現59歳)の腕の中で、苦しみながら突然亡くなりました。
心臓発作だったようです。
その直前までソファの上で熟睡していたのに、急に苦しみ出して1~2分もしないうちに亡くなったのです。
そのとき私は県外の実家に帰省中で、夫からピピンの様子がおかしいのでどうしたらよいかと電話があり、電話越しにピピンの苦しむ大きな声が聞こえてきました。
今でもその声は耳に残っていて、思い出すと胸が苦しくなります。
翌朝、始発の電車と新幹線を利用して、昼過ぎに家で待つピピンと対面しました。
うそであってほしいと願いながら家に戻りましたが、ピピンが出迎えてくれることはなかったのです。
何が起こったのか気持ちの整理がつかないまま、ピピンのかたわらに座って泣くことしかできませんでした。
1時間ほどたった頃、仲の良い猫友だち(現在52歳)が弔問に訪ねてくれました。
彼女は猫を8匹飼っていて、猫好き仲間として話が合う友人だったので、わざわざ来てくれたのだと思うと心強く感じました。
でも、彼女が部屋に入るなり言った言葉で、そんな気分は消し飛んでしまいました。
「どうしたの? 何があったの? どのように亡くなったの?」
立て続けに質問攻めされても、私は話すことができません。
ピピンが亡くなったことを受け入れられない状態なのに、ピピンの死因を話す気力はありませんでした。
こういう状況、そして猫好きな人なら、原因を知りたいのは普通かもしれません。
でも、こんなときに聞かなくてもいいと思いませんか?
「今? 答えないといけないの? それって、今一番話したくないことなんだけど」
と心で叫んでいました。
少しの沈黙が流れ、彼女は何を言い出すかと思ったら、昔彼女が実家で飼っていた猫が交通事故で亡くなった話をし始めました。
しかも、その子の亡骸はカラスに突かれていた、と話した後に「ね! ひどいでしょ? ひどいでしょ?」と言われても...。
無神経さに心底腹が立ちました。
「私は、あなたの飼い猫の悲惨な最期の話に共感できるほどの余裕がありません」
「あなたの猫の最期よりピピンのほうがマシだと言いたいのですか?」
彼女には「これからかかりつけの獣医に診てもらうから」と言って帰ってもらいました。
寄り添えない人っているのですね。
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