<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女性
年齢:53
プロフィール:アラフィフ兼業主婦。最近子どもの頃の話をよく思い出すようになりました。
現在53歳になる兼業主婦です。
40年ほど前に私の中学時代の担任だったA先生(当時35歳くらい)の言葉が、今でも心に残っています。
当時、私のクラスに不登校になってしまった子がいました。
N子ちゃんという女の子で、両親は学校の教員でした。
N子ちゃんは頭がよく、数学の計算などはいつもクラスで一番に終わるような子でしたが、それに嫉妬する子たちもいたのです。
「親が両方とも教師してるんやから、勉強とかできて当たり前やん。絶対ずるいわ」
そんな陰口を複数人のクラスメイトに言われ続けて、それに耐えられなくなったN子ちゃんは、ついには学校に来れなくなってしまったのです。
しかし、担任のA先生は、N子ちゃんをそのまま放っておくような先生ではありませんでした。
学級会を開き、どうすればN子ちゃんがまた学校に来れるようになるのか、それを議題にしました。
その学級会で、教壇に立ったA先生がこんなことを話してくれました。
「前に進める子は不満を漏らさず、努力し、進めない子は不満だけを漏らす」
一瞬、言葉の真意がわかりませんでしたが、きっとA先生はこう言いたかったのだと思います。
「勉強ができるのはN子ちゃんの努力であり、それを羨ましいからと貶めるような言葉を投げつける子はどう頑張っても上にはいけない」
クラスの何人かは先生の言葉に気づかされたようで、ハッとした様子で顔を上げて、バツが悪そうに視線を落としていました。
A先生は言葉だけでなく、すぐに行動に移しました。
N子ちゃんと仲の良かった友だちをA先生が彼女の家まで連れて行き、そこで学校の話をたくさんして、もう変なことを言われる心配がないことを伝えました。
そして「学校に来なさい」などと言うのではなく、「来れたらおいでよ」と伝えたそうです。
N子ちゃんも次第に校門、保健室、教室と少しずつ入れるようになってきて、一緒に卒業式を迎えることができました。
最近、同窓会の通知が来てこの話を思い出したのですが、A先生の言葉は本当に良い言葉で、今でも自分を顧みる鏡になっています。
そして、当時30代だったA先生がそんな深い言葉を言えるなんて凄い...そう、つくづく思いました。
今度の同窓会はN子ちゃんもA先生も出席するそうです。
私はA先生に、あの言葉を今でも憶えているか、そして真意をもう一度きちんと聞いてみようとこっそり思っています。
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