＜この体験記を書いた人＞
ペンネーム：やまと
性別：女性
年齢：41
プロフィール：夫と二人暮らしの主婦です。
約10年前に働いていた会社に、アルバイトとしてSちゃん（20歳くらい）という女性がいました。
見た目はとてもかわいらしくしゃべり方もおっとりしていて、守ってあげたくなるような雰囲気でした。
しかしある日、Sちゃんも交えてお昼休憩をとっていると、Sちゃんが「最近彼氏とちょっとうまくいっていなくて...」と言い出しました。
「この間ケンカしたときなんて『お前は顔が良いだけの女だな』って言われちゃいました〜。ひどくないですか〜？ もう立ち直れない...」
うんうん、確かに内面を否定されたようにも受け取れますが、暗に顔はいいと自慢してない？ もしかしてこれはマウント？ と感じてしまいました。
そして、顔が良いって自分から言っちゃうんだ...とちょっとびっくりしました。
「大変だったね。でも、かわいいって思ってくれているだけまだいいじゃん。世の中にはブスとかデブとかもっとひどいことを言う人もいるんだし」
その場にいた同僚もびっくりしていたようで、一瞬固まった後フォローしていました。
また、ある時からSちゃんは「私は男性が苦手」と言うようになりました。
あれ？ 彼氏がいたんじゃなかったの？ と思いましたが、なぜかSちゃんは「男性が苦手だから合コンとかもしたことなくて...」と頻繁に言います。
何の目的でSちゃんがそんなことを言ったのかは分かりませんが、あまりにもアピールするので、まわりの男性はSちゃんに気を遣っているようでした。
そんなある日、Sちゃんが「聞いてくださいよ〜」と言ってきました。
話を聞くと、最近まで会社でアルバイトをしていた男性（20代）とデートに行ったけれど、ケンカをしてデート先においてけぼりにされたとのことでした。
え...？ 男性が苦手なはずじゃなかったの!? それならデートに行かなきゃいいのに...男性が苦手という発言はあざとい清純アピールだった!?
一貫性のない行動に、おそらくその場にいた全員がそう思っていたと思います。
もしかしてSちゃんは、異性を誘惑して人間関係を壊してしまう、いわゆる「コミュニティクラッシャー」なのかな？ と思ってしまいました。
そうだとしたら迷惑だし、そもそもミスが多くてあまりデスクワークには向かないタイプに見えます。
「Sちゃんは何でうちの会社で働こうと思ったの？ アパレルとか、もっとSちゃんのかわいさを生かした仕事があると思うんだけど」
「実はメイド喫茶でバイトしていたんですけど、お客さんとうまく話ができなくてクビになっちゃったんです〜」
確かにSちゃんとの会話は噛み合わないことがよくありました。
しかし、バイトをクビになるほどだとしたら、もしかしたらSちゃんは本物の天然だったのかもしれません。
そんなことを思っているうちに、Sちゃんは会社を辞めてしまいました。
近年ブームの「あざと女子」という言葉を耳にするたび、本物の天然だったのかあざといだけだったのか、最後まで分からなかったSちゃんのことを思い出します。
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