<この体験記を書いた人>
ペンネーム:大家ぽん子
性別:女性
年齢:65
プロフィール:65歳主婦です。少し離れた場所に住んでいる89歳の実母がいます。
2021年、コロナが落ち着いたころを見計らい、ささやかですが実母(89歳)の米寿と母の日のお祝いを兼ねた食事会をしました。
食事会の前、私(65歳)と2人の兄(67歳と68歳)で話し合い、まだまだ食欲のある母の好物、寿司を食べることになりました。
元気とはいえ母も高齢なので、私たちも体調管理にかなり気を使い、事前の外出を控えたり、個室のある店を探したりして準備を進めていきました。
みんな少しづつ離れた場所に住んでいるので、久々の兄弟そろっての会食です。
雰囲気の良い店を選び、母の好きなマグロを多めにした献立を作ってもらいました。
せっかくのお祝いだからと奮発し、それほどたくさん食べられないであろう母に合わせて、良いものを少しづつ食べられるように手配したのです。
お店選びは大当たり! どの料理も大変美味しく、プロの味にみんなで唸りました。
さらに、職人さんが大サービスしてくれたと思われる良いマグロが次々と運ばれ、母も兄たちも大喜び。
「まあー! こんなにいいお刺身!」
「ウニまであるのねえ!」
嬉しそうな母の姿を見てホッとしていたところ、母が「いくらくらいの料理なの?」と聞いてきました。
「そんなの気にしないで」
「せっかくのお祝いなんだから、お金のことなんて言わなくてもいいよ」
兄たちが言いましたが、母はどうしても気になったようです。
「そんなこと言われたって気になるじゃない。ねえ、いくらだったの?」
そう言ってメニューをパラパラめくりだし、店員さんにまで聞きそうな気配でした。
「今日は夫からも軍資金をもらったから大丈夫よ。たくさん食べよう!」
私も何とか話題を変えようとしましたが、頑固な母は引き下がりませんでした。
根負けした上の兄が「〇〇円だよ」と金額を答えました。
すると、驚いたように「安いねえ!」と...その後も何回も「安いね!」を連発。
柔らかい一口サイズの牛肉にウニの乗った餡かけの小鉢や、素人目でも分かるくらい質の良い中とろを食べるたびに「これで〇〇円は安い」と言うのです。
上の兄は「言うんじゃなかった」とバツの悪そうな顔。
私と下の兄も「あーあ...」と、ちょっぴり気まずい雰囲気で会食は終わりました。
母が始終ご機嫌だったことと「美味しかったよ!」と言ってくれたのが救いでしたが、「これで〇〇円は安いね」と最後までお金のことばかり。
それほど裕福な家庭ではなかったせいか、母がお金のことでデリカシーがないことを言いがちなのは知っていました。
今回の「安いね」発言も「値段の割にとても良いコースだ」と言いたいのは分かります。
分かりますが、せっかくのお祝い気分がしぼんでしまいました。
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